下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成23年 問4

【動画解説】法律 辻説法

【問 4】 マンションの管理組合A(以下本問において「A」という。)とマンション管理業者B(以下本問において「B」という。)との間で管理委託契約(以下本問において「本件契約」という。)が締結されたが、同契約において、Bに管理事務を行わせるためAに帰属する管理事務室(以下本問において「本件管理事務室」という。)を無償で使用させる旨が定められている場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 本件管理事務室の使用は無償であるため、Aは、Bに対して、いつでも本件管理事務室の返還を請求することができる。

2 本件管理事務室の使用期間を1年未満と定めることはできず、1年未満の期間の定めをしたときは、期間の定めのないものとみなされる。

3 本件契約に別段の定めがない限り、本件管理事務室の通常の必要費については、Aが負担する。

4 Aは、本件契約の本旨に反する本件管理事務室の使用によって損害が生じた場合、Bに対し、その賠償請求をすることができるが、本件管理事務室の返還を受けたときには、その時から1年以内に請求しなければならない。

【解答及び解説】

【問 4】 正解 4

1 誤り。管理事務室の使用は使用貸借契約と考えられるが、使用貸借においては、借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない。管理事務室の使用は、管理委託契約の存続期間中のものと考えられるので、管理委託契約の終了時までは返還請求できない。
*民法597条

2 誤り。使用貸借については、特に存続期間についての制限はない。なお、借地借家法は使用貸借には適用されない。
*民法597条

3 誤り。使用貸借においては、借主が、借用物の通常の必要費を負担するので、Bが負担することになる。
*民法595条1項

4 正しい。使用貸借において、契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。
*民法600条1項