下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成23年 問3

【動画解説】法律 辻説法

【問 3】 マンションの専有部分を所有するAが、当該専有部分をBに賃貸した場合に関する次の記述のうち、民法、借地借家法(平成3年法律第90号)及び建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)の規定によれば、正しいもののみの組合せはどれか。

ア Bが当該専有部分の引渡しを受けた場合には、その引渡後に当該専有部分の所有権がAからCに譲渡されたときでも、Bは、自己の賃借権をCに対し対抗できる。

イ Bが当該専有部分について支出した費用のうち、Aは、必要費については直ちにBに償還する義務を負うが、有益費については賃貸借終了時に償還すればよい。

ウ Bが当該専有部分をAに無断でDに転貸した場合には、BD間の賃貸借(転貸借)は無効であるから、Bは、Dに対して賃料を請求することはできない。

エ Bが当該専有部分を規約に定める用途に違反して使用している場合でも、AB間の賃貸借契約に違反しないときには、Bは、現状のままでの使用が認められる。

1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・ウ
4 イ・エ

【解答及び解説】

【問 3】 正解 1

ア 正しい。建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しが対抗要件となる。したがって、Bは自己の賃借権をCに対抗することができる。
*借地借家法31条

イ 正しい。賃借人は、必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができるが、有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に償還を請求することができるにすぎない。
*民法608条

ウ 誤り。賃借物の無断転貸は、AB間の賃貸借契約の解除原因ではあるが、それにより直ちに転貸借契約の無効になるわけではない。Bは、Aが賃貸借契約を解除するまでは、BはDに対して賃料を請求することができる。
*民法612条

エ 誤り。占有者(賃借人)は、建物又はその敷地若しくは附属施設の「使用方法」につき、区分所有者が規約に基づいて負う義務と同一の義務を負うので、専有部分を規約に定める用途に違反して使用している場合には、Bは現状のままでの使用は認められない。
*区分所有法46条2項

以上より、正しいもののみの組合せは、肢ア及び肢イであり、肢1が正解となる。