下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成22年 問42

【動画解説】法律 辻説法

【問 42】宅地建物取引業者が、新築分譲マンションを宅地建物取引業者でない者に売却した場合における、売主の契約不適合責任に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 「売主は、当該マンションを買主に引き渡した日から1年以内に買主が契約不適合を通知すれば、契約不適合責任を負う」旨の特約をした場合、売主は買主に対し、引き渡した日から2年以内に買主が契約不適合を通知すれば、責任を負うことになる。

イ 買主が法人の場合、「買主は、損害賠償の請求に代えて契約不適合の修補の請求をしなければならない」旨の特約は有効である。

ウ 売主と買主の間において、契約不適合責任の内容について何らの特約をしなかった場合、売主は宅地建物取引業法に違反することとなる。

エ 売主は「当該マンションを買主に引き渡した日から10年間、契約不適合責任を負うが、その契約不適合について売主に何らの過失もなかった場合は、その責任を負わない」旨の特約は、買主が了承したとしても無効である。

オ 「買主は、売主に追完請求、代金減額請求、契約の解除又は損害賠償の請求をするには、買主が契約不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならない。」旨の特約は無効である。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【解答及び解説】

【問 42】 正解 1

ア 誤り。宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約における契約不適合責任に関し、買主が売主に対して契約不適合を通知すべき期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。本肢は、引渡しから1年間という特約なので無効となり、民法の規定に戻り、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知すれば、売主は責任を負わなければならない。
*宅地建物取引業法40条

イ 誤り。宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約における契約不適合責任に関し、原則として民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。民法では、買主に損害賠償請求を認めているので、それを認めない本肢の特約は買主に不利であり、無効である。
*宅地建物取引業法40条

ウ 誤り。宅地建物取引業法は、民法の規定より買主に不利な特約を禁止しているのみであり、契約不適合責任についての特約を義務付けているものではない。
*宅地建物取引業法40条

エ 正しい。民法では、損害賠償責任以外の契約不適合責任は売主の無過失責任であり、契約不適合責任の追及に売主の過失を要求している本特約は、買主に不利であり、無効である。
*宅地建物取引業法40条

オ 誤り。本肢の特約は、民法の規定と同じ内容であり、買主に不利ではないので、有効である。
*宅地建物取引業法40条

以上より、正しいものは肢エの一つであり、正解は第1肢となる。