下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成22年 問10

【動画解説】法律 辻説法

【問 10】マンションの管理費の滞納に対する対策及びその法的手続に関する次の記述のうち、民法及び民事訴訟法(平成8年法律第109号)の規定によれば、誤っているもののみの組合せはどれか。

ア 滞納額が、60万円以下の場合は、通常の民事訴訟でなく、少額訴訟制度(民事訴訟法の「少額訴訟に関する特則」)によらなければならない。

イ 管理費の滞納者が死亡した場合、当該マンションに居住しているか否かにかかわらず、その相続人が管理費債務を承継する。

ウ 管理費を滞納している区分所有者が、民事再生手続開始の決定(民事再生法(平成11年法律第225号)の「再生手続開始の決定」)を受けた場合でも、管理費の消滅時効の完成は猶予されない。

エ 管理費の滞納者が行方不明になった場合、公示送達により訴状を送達することにより訴訟を係属させることができる。

オ 管理費の滞納者に対して内容証明郵便による催告を行った場合、6箇月以内に再び催告を行えば、時効の完成猶予の効力は失われない。

1 ア・オ
2 ア・エ
3 イ・オ
4 ウ・エ

【解答及び解説】

【問 10】 正解 1

ア 誤り。訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについては、少額訴訟による審理及び裁判を求めることが「できる」のであって、必ず少額訴訟によらなければならないわけではない。
*民事訴訟法368条

イ 正しい。相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するので、当該マンションの居住の有無にかかわらず、被相続人の滞納管理費債務も承継する。
*民法896条

ウ 正しい。管理費の滞納者が再生手続開始の決定を受けた場合、その再生手続開始決定の時に時効の完成が猶予されるのではなく、債権者が再生手続に参加した時に、時効の完成猶予の効力が生ずる。
*民法147条1項4号

エ 正しい。当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合には、公示送達の方法により訴状を送達することにより訴訟を係属させることができる。
*民事訴訟法110条1項1号

オ 誤り。催告があったときは、その時から6ヶ月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。ただ、催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、時効の完成猶予の効力を有しない。
*民法150条2項

以上より、誤っているものは「ア」及び「オ」であり、正解は第1肢となる。