下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成22年 問5

【動画解説】法律 辻説法

【問 5】 マンションにおいて、その建物又は敷地上の工作物若しくは樹木についての設置・保存又は栽植の瑕疵により、他人に損害が発生した場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 建物の設置又は保存の瑕疵により他人に損害が発生した場合には、その瑕疵は共用部分の設置又は保存の瑕疵とみなされるので、瑕疵の所在部分を問わず、当該マンションの管理組合が損害賠償責任を負う。

2 敷地上の樹木の栽植の瑕疵により他人に損害が発生した場合に、樹木は土地の工作物ではないので、樹木の栽植を行った者が損害賠償責任を負い、樹木の占有者は責任を負わない。

3 建物の専有部分を賃借人が占有している場合に、その専有部分の瑕疵により他人に損害が発生したときには、その賃借人が損害賠償責任を負い、区分所有者である賃貸人が責任を負うことはない。

4 区分所有者が自ら居住している建物の設置又は保存の瑕疵により他人に損害が発生した場合において、損害の原因について当該区分所有者以外の者にその責任を負う者があるときでも、当該区分所有者は責任を免れるわけではない。

【解答及び解説】

【問 5】 正解 4

1 誤り。建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと「推定」されているのであり、「みなされ」るわけではない。したがって、瑕疵の所在部分が専有部分であることが証明されれば、当該専有部分の占有者又は所有者が責任を負うことになる。
*区分所有法9条

2 誤り。民法の工作物責任の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用されているので、樹木の栽植の瑕疵により他人に損害が発生した場合、第一次的には占有者が責任を負う。
*民法717条2項

3 誤り。土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、第一次的には占有者が責任を負うが、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
*民法717条1項

4 正しい。土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、最終的に所有者がその損害を賠償しなければならない。損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占所有者は、その者に対して「求償権」を行使することができるが、あくまで被害者に対して責任を負うのは所有者である。
*民法717条1項・3項