下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成21年 問29

【問 29】 ある管理組合で、老朽化した給水管本管の取替工事とともに、本管と構造上一体となっている専有部分としての枝管の取替工事も行いたいと考えている場合に関する各理事の意見である次の記述のうち、マンション標準管理規約の定めによれば、最も不適切なものはどれか。

1 本管の取替工事は、多額の費用を要するが、総会の普通決議で行うことができる。

2 枝管の取替工事も総会決議があればできるが、専有部分における工事だから、できれば特別決議を経たほうが望ましい。

3 本管取替工事と一体として枝管取替工事をすることについて特別決議がされても、修繕積立金を取り崩して専有部分に係る枝管取替工事に要する費用に充てることには疑問がある。

4 枝管取替工事をすることについて特別決議をすれば、専有部分内に強制立入りできるので全戸工事を行うことができ、効果的である。

【解答及び解説】

【問 29】 正解 4

1 適切。専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。本問の専有部分としての枝管の取替工事もこれに該当する。また、計画修繕工事に関し、給水管更生・更新工事は普通決議で実施可能と考えられるとされている。
*標準管理規約21条2項、47条関係コメント⑥オ

2 適切。専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができ、また、計画修繕工事に関し、給水管更生・更新工事は普通決議で実施可能と考えられるが、特別決議を経ることが望ましいことは間違いない。
*標準管理規約21条2項、47条関係コメント⑥オ

3 適切。配管の清掃等に要する費用については、「共用設備の保守維持費」として管理費を充当することが可能であるが、配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担すべきものである。なお、共用部分の配管の取替えと専有部分の配管の取替えを同時に行うことにより、専有部分の配管の取替えを単独で行うよりも費用が軽減される場合には、これらについて一体的に工事を行うことも考えられる。このように一体的に「工事」を行う場合でも、「費用負担」は各区分所有者が実費に応じて負担すべきである。
*標準管理規約21条関係コメント⑦

4 不適切。共用部分等の管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを「請求」することができる。特別決議を経たからといって強制的に専有部分に立ち入ることができるわけではない。
*標準管理規約23条1項