下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成20年 問36

【問 36】 管理組合の理事長又は管理組合法人の代表理事に関する次の管理規約の定めのうち、区分所有法の規定に違反するものはどれか。

1 管理組合の理事長は、管理組合と利益が相反する行為については、総会の承認を得た場合でなければ契約することができないものとする。

2 管理組合法人の代表理事は、損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理するものとする。

3 管理組合の理事長は区分所有者から選任するものとし、これとは別に、管理者は区分所有者以外の第三者を選任するものとする。

4 管理組合法人の代表理事は、1名は区分所有者から、他の1名は区分所有者以外の第三者から選任するものとする。

【解答及び解説】

【問 36】 正解 2

1 違反しない。管理組合法人においては、管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、理事に代表権はなく、監事が管理組合法人を代表する旨の規定がある。しかし、法人化されていない管理組合においては、このような規定はないが、民法においては本人の利益保護のために利益相反行為が禁止されている。ただ、この場合でも本人の承諾があれば、利益相反行為を行うこともできる。したがって、管理組合と理事長(管理者)の利益相反行為でも、総会の承認を要求する本肢の規約は有効であると考えられる。
*区分所有法51条参照

2 違反する。管理組合「法人」は、損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理する。つまり、保険金の請求及び受領については、「法人」に代理権があり、「理事」にはないので、このような規約の定めは区分所有法に違反する。
*区分所有法47条6項

3 違反しない。管理組合の理事長は、標準管理規約によると管理者とされているが、管理者は複数選任してもよく、また、区分所有法には管理者についての資格を制限する規定もないので、管理組合の理事長を区分所有者から選任し、これと別に区分所有者以外の第三者を管理者とする旨の管理規約の定めも区分所有法に違反しない。
*区分所有法25条1項

4 違反しない。管理組合法人の代表理事については、1名でなければならないという規定はなく、また、特に資格について制限する規定もないので、本肢の規約は区分所有法に違反しない。
*区分所有法49条5項