下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成20年 問11

【動画解説】法律 辻説法

【問 11】 マンションの管理費の消滅時効の完成猶予及び更新に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理費を滞納している区分所有者が、破産手続開始の決定を受けた場合には、もはや管理費債権について時効の完成を猶予し又は更新する方法はない。

2 管理費を滞納している区分所有者が、管理組合に対し、滞納管理費の額と滞納している事実を認める承諾書を提出した場合、管理費債権の時効は更新される。

3 管理費を滞納している区分所有者が、専有部分の区分所有権を第三者に売却した場合は、管理費債権の時効の完成が猶予される。

4 民事訴訟法(平成8年法律第109号)の定める通常の訴訟でなく、同法の「少額訴訟に関する特則」に基づく訴えを提起しただけでは、管理費債権の時効の完成猶予の効力は生じない。

【解答及び解説】

【問 11】 正解 2

1 誤り。管理費を滞納している区分所有者が、破産手続開始の決定を受けた場合、債権の届出をし破産手続に参加した上で、破産債権が確定すれば時効の完成が猶予又は更新される。また、免責の決定を受けるまでは、滞納管理費の支払義務は消滅していないので、通常の承認などによる時効の更新もありうる。
*民法147条1項4号、152条

2 正しい。管理費を滞納している区分所有者が、管理組合に対し、滞納管理費の額と滞納している事実を認める承諾書を提出することは、時効の更新事由の「承認」に該当する。
*民法152条1項

3 誤り。管理費を滞納している区分所有者が、専有部分の区分所有権を第三者に売却しただけでは、時効の完成猶予事由のどれにも該当せず、時効の完成は猶予されない。
*民法147条等

4 誤り。少額訴訟の提起も、訴訟の提起であり、「裁判上の請求」に該当するので、管理費債権の時効の完成猶予の効力が生じる。
*民法147条1項1号