下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成20年 問1

【動画解説】法律 辻説法

【問 1】 次のアからエの各債務について、下記AからDに掲げた「多数当事者の債務関係」に該当するものを選択した場合に、最も適切な組合せはどれか。なお、アからエの各債務については、当事者間において別段の意思表示はないものとする。

ア 各区分所有者が、管理組合に対して支払う管理費の支払債務

イ 管理組合が、管理会社に対して支払うべき管理委託契約に基づく委託業務費の支払債務

ウ 2人が、共有する1つの専有部分を賃貸する場合における当該専有部分の引渡債務

エ 1つの専有部分を2人で賃借する場合における賃料債務

A 分割債務
B 不可分債務
C 連帯債務
D 保証債務

1 アとC
2 イとA
3 ウとB
4 エとD

【解答及び解説】

【問 1】 正解 3

ア 数人の債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債務者は、それぞれ等しい割合で義務を負うという分割債務が原則となる。本肢も、特別の事情もなく「分割債務」となる。
*民法427条

イ 債務の目的がその性質上不可分である場合を不可分債務といい、管理組合が、管理会社に対して支払う委託業務費は、その性質上分けることはできないので、不可分債務である。
*民法430条

ウ 債務の目的がその性質上不可分である場合を不可分債務といい、本肢の引渡債務は性質上不可分といえるので、不可分債務となる。
*民法430条

エ 債務の目的がその性質上不可分である場合を不可分債務という。そして、2人で専有部分を賃借している場合は、その専有部分を借りる権利は不可分的なものといえ、それに対応する賃料債務も不可分債務になる(判例)。
*民法430条

以上より、正しい組み合わせは、ウとBであり、第3肢が正解となる。