下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成19年 問29

【問 29】あるマンションの管理規約に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 専有部分を売却する場合には、予め管理組合に届け出て、買主となる者の資格審査を受け、その承認を受けなければならない旨の定めは有効である。

2 理事会の決議により、区分所有法第6条第1項に定める共同の利益に反する行為をした区分所有者に対し、専有部分の使用禁止の訴訟を提起することができる旨の定めは有効である。

3 消防用設備等の点検のため、専有部分内に強制的に立入ることができる旨の定めは有効である。

4 管理費滞納者に対し、遅延損害金のほか、違約金としての弁護士費用、督促及び徴収の諸費用を加算して請求することができる旨の定めは有効である。

【解答及び解説】

【問 29】 正解 4

1 不適切。建物又はその敷地若しくは附属施設の「管理又は使用」に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。本肢のように、専有部分の「処分」に関するような規約の定めは無効である。
*区分所有法30条1項

2 不適切。区分所有者に対する専有部分の使用禁止の訴訟を提起するには、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の「集会の決議」が必要である。これについては、区分所有法に規約で別段の定めができる旨の規定はなく、「理事会の決議」により専有部分の使用禁止の訴訟を提起することができる旨の規約の定めは無効である。
*区分所有法58条2項

3 不適切。建物又はその敷地若しくは附属施設の「管理」又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。さらに、区分所有者は、共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の「専有部分の使用を請求」することができるとされている。しかし、消防用設備等の点検のためという緊急性がないものに対して、「強制的」に専有部分に立入ることができるという規約の定めは、共用部分の管理の範囲を超えるものといえる。
*区分所有法6条2項

4 適切。標準管理規約においては、管理費の滞納があった場合に、「その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することができる。」としており、このような遅延損害金及び違約金の定めも規約として有効であると考えられる。
*標準管理規約60条2項