下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
管理業務主任者 過去問解説 平成19年 問11
【問 11】 管理費の滞納に対する対策及び法的手続について管理業務主任者(マンション管理適正化法第2条第9号に規定する者をいう。以下同じ。)が管理者等に対して説明した次のアからオの記述のうち、正しいもののみの組合せはどれか。
ア 滞納者が、そのマンションを売却し、区分所有者でなくなれば、その者には滞納管理費を請求することはできなくなります。
イ 滞納額が、140万円以下であれば、少額訴訟制度(民事訴訟法(平成8年法律第109号)の「少額訴訟に関する特則」)を利用することができます。
ウ 管理費の滞納者が行方不明になったとしても、その者に対して訴えを提起することはできます。
エ 滞納者に対して内容証明郵便による督促をしたとしても、その後6箇月以内に訴えの提起等の所定の法的手続をとらないと時効の更新の効力は生じません。
オ 滞納者が破産手続開始の決定を受けたときは、その日の翌日以降の管理費の支払義務を負わなくなります。
1 ア、ウ
2 イ、オ
3 ウ、エ
4 エ、オ
【解答及び解説】
以上より「正しい」のは、ウ及びエであり、肢3が正解となる。
【問 11】 正解 3
ア 誤り。滞納管理費の請求は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことが「できる」が、以前の所有者に対する請求ができなくなるわけではない。
*区分所有法8条参照
イ 誤り。少額訴訟制度は、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて利用することができる。140万円ではない。
*民事訴訟法368条
ウ 正しい。当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合であっても、公示送達の方法により、訴えを提起することができる。
*民事訴訟法110条
エ 正しい。滞納者に対する内容証明郵便による督促は、「催告」ということになるが、催告があったときは、その時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。これは時効の完成が猶予されているだけなので、その6箇月の期間内に訴えの提起等の所定の法的手続をとらないと時効の更新の効力は生じない。
*民法150条
オ 誤り。破産手続の開始の決定を受けた者が、免責の決定を受ければ過去の滞納管理費の支払義務は消滅するが、それ以降の管理費の支払義務がなくなるということはない。