下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
管理業務主任者 過去問解説 平成19年 問10
【問 10】マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 管理規約に管理費についての遅延損害金の定めがない場合には、管理組合は管理費の滞納者に対して、滞納額のみ請求することができ、遅延損害金の請求をすることはできない。
2 管理費の滞納者が、管理組合あてに滞納の事実を認め、滞納管理費の一部であることを明示して支払った場合、全額について消滅時効が更新される。
3 管理費の滞納者が、滞納したまま死亡した場合、その相続人が相続放棄をしたときでも、管理組合は、管理費について請求することができる。
4 管理費の滞納者が、マンションの区分所有権を売却した場合、その買主が、買い受け当時、前区分所有者の滞納の事実及びその額について知らず、かつ過失もないときは、管理組合に対して、その支払義務を負わない。
【解答及び解説】
【問 10】 正解 2
1 誤り。管理費の支払債務は、金銭債務であり、金銭債務の不履行の場合の損害賠償の額は、遅延損害の定めがなくても、法定利率によって定められる。
*民法419条1項
2 正しい。一部支払であることを明示した上での支払は、時効の更新事由の「承認」に該当し、債務の全額について消滅時効が更新される。
*民法152条1項
3 誤り。相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされるので、相続人は滞納管理費の債務を相続せず、管理組合は相続人に管理費を請求することはできない。
*民法939条
4 誤り。滞納管理費は、債務者たる区分所有者の特定承継人(買主)に対しても行うことができる。買主が滞納の事実について善意無過失であっても同様である。
*区分所有法8条