下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成19年 問6

【動画解説】法律 辻説法

【問 6】 Aは、Bが区分所有している専有部分(以下本問において「本件専有部分」という。)を賃借していたが、Bに無断で本件専有部分をCに転貸した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 AC間の転貸借契約は、Bの承諾がない場合でも有効であり、Aは、Cに対して、賃料の支払いを請求することができる。

2 AC間の転貸借契約についてBの承諾が得られない場合には、Cは、Aに対して、AC間の契約を解除することができる。

3 Aが本件専有部分を、AC間の転貸借契約に基づきCに使用させたときは、Bは、AB間の賃貸借契約を解除することができる。

4 Bは、Aとの賃貸借契約を解除しない限り、Cに対して、所有権に基づいて本件専有部分の明渡しを請求することはできない。

【解答及び解説】

【問 6】 正解 4

1 正しい。賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない(無断譲渡・転貸の禁止)。しかし、賃貸人の承諾が得られない場合でも、解除されるまでは、すぐにAC間の転貸借契約が無効になるわけではなく、それまではAはCに賃料の支払いを請求することができる。
*民法612条

2 正しい。転貸借契約には、賃貸人の承諾が必要であるから、賃貸人の承諾が得られない場合は、賃借人は転借人に対して債務の本旨に従った履行をしているとはいえず債務不履行となり、CはAC間の転貸借契約を解除することができる。
*民法543条

3 正しい。賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができず、賃借人がこれに違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
*民法612条2項

4 誤り。無断転貸が行われた場合には、賃貸人は賃貸借契約を解除することができるが、解除をする前であっても、転借人に対して「所有権」に基づいて明渡し請求をすることができるとされている(判例)。
*民法612条