下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成18年 問3

【動画解説】法律 辻説法

【問 3】 Aが区分所有するマンションの専有部分(以下本問において「本件専有部分」という。)をBが占有している場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 本件専有部分について何ら権原のないBが、本件専有部分を時効取得するためには、時効の完成後に、Bが時効を援用し、本件専有部分について、登記をしなければならない。

2 本件専有部分について何ら権原のないBが、本件専有部分を10年間の占有により時効取得するためには、占有の開始の時だけではなく、継続して善意・無過失の占有でなければならない。

3 本件専有部分について何ら権原のないBが、本件専有部分を時効取得した場合でも、Bは、共用部分の共有持分権を取得しない。

4 Bが本件専有部分をAから賃借している場合、Bが長期間にわたり賃料を滞納したまま、Aに対して所有の意思のあることを表示せずに占有していたとしても、Bは、本件専有部分の所有権を時効取得することはできない。

【解答及び解説】

【問 3】 正解 4

1 誤り。Bが取得時効の効果を主張するには、時効を援用することは必要であるが、登記をすることまでは必要ない。
*民法145条

2 誤り。占有の「開始」の時に、善意かつ無過失で、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、10年で時効取得することができ、途中で善意無過失でなくなってもよい。
*民法162条2項

3 誤り。共用部分に関する共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従うので、Bは専有部分を時効取得すれば、共用部分の共有持分権も取得する。
*区分所有法15条1項

4 正しい。所有権を時効取得するには、「所有の意思」を有していることが必要である。Bは賃借権に基づき占有しているので、このような場合には何年占有しても所有権を時効取得することはできない。
*民法162条