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管理業務主任者 過去問解説 平成18年 問1

【問 1】 民法上の各種の契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 売買及び請負が、有償・双務契約であるのに対し、贈与及び使用貸借は、無償・片務契約である。

2 雇用及び請負が、諾成・有償・双務契約であるのに対し、贈与及び和解は、諾成・無償・片務契約である。

3 売買及び賃貸借が、諾成・有償・双務契約であるのに対し、組合及び使用貸借は、諾成・無償・双務契約である。

4 組合及び交換が、諾成・有償・双務契約であるのに対し、書面によらない消費貸借及び寄託は、要物・有償・双務契約である。

【解答及び解説】

【問 1】 正解 1

1 正しい。売買契約は、売主が引渡義務、買主は代金支払義務を負い、請負契約は、請負人が仕事の完成義務、注文者が報酬支払義務を負うので、いずれも有償・双務契約である。一方、贈与契約は、贈与者は引渡義務を負うが、受贈者はそれに対する対価を支払わないので、無償・片務契約である。また、使用貸借契約は、目的物の引渡しを要する要物契約とされており、貸主が目的物の引渡義務を果たしてはじめて契約が成立するので、契約が成立した段階では、貸主の引渡義務は終わっており、後は借主の返還義務のみが残っている片務契約であり、借主は対価を支払わないので、無償・片務契約である。
*民法555条、632条、549条、593条

2 誤り。雇用契約は、労働者は労働をする義務、使用者は報酬支払義務を負い、請負契約は、請負人が仕事の完成義務、注文者が報酬支払義務を負うので、いずれも有償・双務契約であり、また諾成契約である。一方、贈与契約は、贈与者は引渡義務を負うが、受贈者はそれに対する対価を支払わないので、無償・片務契約であるが、和解は、当事者が「互いに譲歩」をしてその間に存する争いをやめることを約することによって効力を生ずる契約であるから、互いに譲歩した内容が対価の関係に立つので、「有償・双務」契約である。なお、贈与契約も和解契約もともに諾成契約である。
*民法623、632条、549条、695条

3 誤り。売買契約は、売主が引渡義務、買主は代金支払義務を負い、賃貸借契約は、貸主が使用収益させる義務、借主は賃料支払義務を負うので、いずれも有償・双務契約であり、また諾成契約である。一方、組合契約は、すべての組合員が出資の義務を負う契約であるから「有償」・双務契約であり、諾成契約である。また、使用貸借契約は、借主が無償で使用及び収益する契約であるから、借主は借賃の支払い義務を負わず、無償・「片務」契約である。使用貸借契約が諾成契約であるという点は正しい。
*民法555条、601条、667条、593条

4 誤り。組合契約は、すべての組合員が出資の義務を負い、交換契約は、当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転する義務を負うので、いずれも有償・双務契約であり、また諾成契約である。一方、書面によらない消費貸借契約は、要物契約とされており、貸主が目的物の交付義務を果たしてはじめて契約が成立するので、契約が成立した段階では、貸主の交付義務は終わっており、後は借主の返還義務のみが残っている片務契約である。そして、消費貸借では、利息付きの場合と無利息の場合があり、利息付きの場合は利息という対価を支払うので有償契約であるが、無利息の場合は無償契約となる。したがって、消費貸借は、利息付きの場合は要物・有償・「片務」契約、無利息の場合は要物・「無償」・「片務」契約である。また、寄託契約は「諾成」・「無償」・「片務」契約とされているが、有償契約とする場合は、「諾成」・有償・双務契約となる。
*民法667条、586条、587条、657条