下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成15年 問40

【問 40】 マンションの管理者に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。

1 管理者が、マンションの管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をする区分所有者に対し、その行為を停止するため、訴訟を提起するには、集会の決議が必要である。

2 管理者が、マンションの敷地を不当に使用している者に対し、不当利得による返還金の請求又は受領をするには、集会の決議が必要である。

3 管理者が、マンションのエントランスの共用ドアの故障を修理するため、その工事を業者に発注するには、集会の決議は不要である。

4 管理者が、マンションのIT化のため、既存のパイプスペースを利用して光ファイバー・ケーブルを敷設する工事を発注する場合には、集会の決議が必要である。

【解答及び解説】

【問 40】 正解 2

1 適切。共同の利益に反する行為の停止等の請求をするために訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
*区分所有法57条2項

2 不適切。管理者は、共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領について、区分所有者を代理する。これについては集会の決議は不要である。
*区分所有法26条2項

3 適切。マンションのエントランスの共用ドアの故障を修理するため、その工事を業者に発注することは、保存行為に該当するが、管理者は、共用部分等を保存する権利を有し、義務を負うので、集会の決議は不要である。
*区分所有法26条1項

4 適切。マンションのIT化のため、既存のパイプスペースを利用して光ファイバー・ケーブルを敷設する工事を発注する行為は、特に形状・効用を著しく変更しないので、軽微変更とされる(平成13年12月法務省民事局「既存の分譲マンションのIT化工事に関する区分所有法の考え方」)。したがって、集会の普通決議が必要である。
*区分所有法18条1項