下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成15年 問10

【問 10】 マンションの管理費の支払債務についての消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 管理費を滞納している区分所有者が、「必ず支払いますから、しばらく待って欲しい」と管理者に告げた場合、その支払債務の時効は更新される。

2 管理費の支払債務の時効の起算日は、その管理費の支払期日が経過した時である。

3 管理者が病気で長期入院したときは、管理費の支払債務の時効の完成が猶予される。

4 管理費を滞納している区分所有者に対し、訴えを提起したとしても、その訴えを取り下げた場合は、時効の更新の効力は生じない。

【解答及び解説】

【問 10】 正解 3

1 正しい。本肢の区分所有者の言葉は、債務の承認にあたるので、時効は更新される。なお、この承認については、裁判上行われる必要はない。
*民法152条1項

2 正しい。消滅時効は、「債権者が権利を行使することができることを知った時」又は「権利を行使することができる時」から進行する。そして、管理費の場合、管理組合は管理費の支払期日は知っているはずだから、管理費の支払期日が経過した時に、権利行使が可能となり、またそれを債権者が知った時になる。
*民法166条1項

3 誤り。時効の完成猶予事由は、「裁判上の請求」、「支払督促」、「強制執行」等であり、管理者が病気で長期入院したというだけでは、時効の完成は猶予されない。
*民法147条等

4 正しい。裁判上の請求は、取下げのように確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合には、時効の更新の効力は生じない。
*民法147条2項