下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成15年 問9

【問 9】 マンション(マンション管理適正化法第2条第1号に規定するものをいう。)の管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理費を滞納している区分所有者が、マンションの専有部分を売却した場合、当該売買契約において、「買主は、売主が滞納している管理費に係る支払債務を承継しない」旨の明確な合意がなされているときでも、買主はその滞納している管理費の支払義務を負う。

2 管理費を滞納している区分所有者が、勤務先である会社の倒産によって収入がないためその管理費を支払うことができない事情にあることが真実であれば、当該区分所有者は債務不履行にならない。

3 区分所有者が管理費を納付すべき期日に納付しなかった場合、規約に特別の定めをしていない限り、当該区分所有者は、遅延損害金の支払義務を負わない。

4 管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、遺産分割により当該区分所有者の区分所有権を取得する相続人が決定するまでは、管理組合はその滞納している管理費を請求することができない。

【解答及び解説】

【問 9】 正解 1

1 正しい。区分所有者が滞納した管理費は、その区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。たとえ、当該専有部分の売買契約において、買主は滞納管理費の支払債務を承継しない旨の合意がなされていても、それは売買契約の当事者を拘束するだけで、管理組合に主張することはできない。
*区分所有法8条

2 誤り。管理費の支払債務は、金銭債務であり、金銭債務について債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。
*民法419条3項

3 誤り。管理費の支払債務は、金銭債務であり、その不履行については、規約に特別の定めがなくても、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定まる。
*民法419条1項

4 誤り。相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属するが(民法898条)、金銭債務のような可分債務については、遺産分割に前においても、法律上当然に分割されて、各相続人は相続分に応じて責任を負う(判例)。したがって、遺産分割により当該区分所有者の区分所有権を取得する相続人が決定するまでであっても、管理組合はその滞納している管理費を各相続人に法定相続分に応じて請求することができる。
*民法899条