下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成14年 問9

【問 9】 管理費の滞納に対する対策及び法的手続について、管理業務主任者(マンション管理適正化法第2条第9号に規定するものをいう。以下同じ。)が管理者等(マンション管理適正化法第2条第4号に規定するものをいう。以下同じ。)に対して説明した次のア~オのうち、不適切なもののみの組合せはどれか。

ア 初めての滞納であっても、速やかに督促を行うことが妥当でしょう。

イ 文書で督促する場合、内容証明郵便でも普通郵便でも、将来訴訟になったときの証拠の価値は同じですから、あえて内容証明郵便にする必要はないでしょう。

ウ 60万円以下の金額であれば、少額訴訟制度(民事訴訟法(平成8年法律第109号)の「少額訴訟に関する特則」)を利用でき、訴えられた滞納者もこの制度による手続を拒否することはできません。

エ 支払督促の申立ては、滞納者の住所地の簡易裁判所に行い、通常の訴訟に比べ簡単な手続ですが、裁判所の支払督促について、送達後2週間以内にその滞納者から督促異議の申立てがなされれば、支払督促はその督促異議の限度で効力を失ってしまいます。

オ 通常の訴訟を提起する方法がありますが、滞納者が行方不明の場合は、その訴えを提起することはできません。

1 ア、イ、エ
2 イ、ウ、オ
3 イ、エ、オ
4 ウ、エ、オ

【解答及び解説】

【問 9】 正解 2

ア 適切。初めての滞納であっても、放置しておくと滞納が続くこともあるので、速やかに督促を行うことは妥当である。

イ 不適切。文書で督促する場合に、内容証明郵便と普通郵便では、法的な意味では同じであるが、内容証明郵便は、郵政官署にその文書が残るので、訴訟になったときの証拠としての価値は高い。

ウ 不適切。原告が、少額訴訟による審理及び裁判を求めても、被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができ、訴えられた者が少額訴訟による審理を強制されるわけではない。
*民事訴訟法373条1項

エ 適切。債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをすれば、支払督促は、その督促異議の限度で効力を失う。
*民事訴訟法390条

オ 不適切。当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができ、この方法で訴えを提起することができる。
*民事訴訟法110条1項1号

以上より、不適切なものは、イ、ウ、オであり、正解は肢2となる。