下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成13年 問5

【問 5】 管理業者の不法行為責任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理業者が、管理組合(マンション管理適正化法第2条第3号に規定する管理組合をいう。以下同じ。)と管理委託契約を締結している場合は、債務不履行責任を負うことはあっても、不法行為責任を負うことはない。

2 管理業者は、自らが雇用している管理員が、その業務の執行につき第三者に対して損害を加えた場合、原則として使用者責任を負う。

3 管理業者は、自らが雇用している管理員が、その業務の執行につき第三者に対して損害を加えた場合、当該個人に不法行為が成立しなくても、使用者責任を負わなければならない。

4 管理業者は、自らが雇用している管理員が、その職務と全く無関係に行った私生活上の行為により第三者に損害が発生したときは、使用者責任を負わなければならない。

【解答及び解説】

【問 5】 正解 2

1 誤り。故意又は過失によって他人に損害を生じさせた者は、契約当事者間であっても、不法行為責任を負う。債務者が不法行為責任と債務不履行責任の要件を同時に満たす場合は、債権者はどちらの責任を追及してもよい(判例)。
*民法709条

2 正しい。ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に損害を加えた場合は、原則として使用者責任を負う。
*民法715条1項

3 誤り。使用者が、使用者責任を負うのは、あくまでも被用者が不法行為の成立要件を満たしている場合である。したがって、管理員に不法行為が成立しない場合には、管理業者も使用者責任を負うことはない。
*民法715条1項

4 誤り。ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその「事業の執行」について第三者に損害を加えた場合は、原則として使用者責任を負うが、事業の執行とはいえない私生活上の行為により第三者に損害が発生しても、使用者は使用者責任を負うことはない。
*民法715条1項