損害賠償額の予定

【解説】

損害賠償額の予定というのは、当事者が契約を行うときに、あらかじめどちらかに債務不履行があった場合の損害賠償の金額を合意しておくことを言います。
たとえば、5,000万円の不動産の売買契約で、債務不履行があった場合には、損害賠償の額は一律1,000万円というふうに定めておくような場合です。

なぜ、このような合意をしておくのでしょうか。
そもそも、債権者が債務者に対して債務不履行による損害賠償請求をするには、損害の発生と「損害額」を立証する必要があります。
しかし、実際にこれを証明するのは難しい場合があります。特に損害額については、その金額まで立証するのは難しく、この金額について裁判などで揉めることが多くなります。たとえば、売主が不動産の引渡しを遅延したことによって、具体的な金額でどれくらい損害が出たのかというのは、なかなか難しい判断です。
そこで、あらかじめ損害賠償額を予定しておけば、具体的な損害額(金額)を立証する必要がなくなり、不必要に揉めることもなくなります。

したがって、損害賠償額の予定をしておけば、裁判所がその額を勝手に増減することはできなくなります(民法420条1項)。

なお、損害賠償額の予定をしたとしても、履行の請求又は解除権の行使をすることはできます(民法420条2項)。損害賠償額の予定をしたからといって、履行の請求権や解除権を放棄したとはいえないからです。

その他の宅建用語集に戻る