抗弁権
【解説】
宅建試験で、この抗弁権という言葉が使われる場面で最も多いのが同時履行の抗弁権ではないでしょうか。これはよく出題されます。
同時履行の抗弁権というのは、たとえば、売買契約が締結され、売主から買主に対して、売買代金の請求があった場合に、買主が、売主はまだ売買契約の目的物を引き渡していないので、引き渡しがあるまでは代金は支払いません、ということができる権利です。
このように「抗弁権」というのは、相手方の請求権の行使に対して、その請求権の効力の発生を阻止して、相手方の請求を拒絶することができる権利のことです。
ただ、宅建試験においては、抗弁権の正確な理解というのは問われたことはなく、「抗弁権」というのは、「反論」の権利という感じで覚えておけばいいと思います。
もともと「抗弁」という言葉は、民事訴訟法などでよく使われる言葉で、訴訟法では正確な理解が必要ですが、宅建では訴訟法というのは出題されませんので、民法で使われるときに理解ができるという程度でいいでしょう。
この抗弁あるいは抗弁権というのは、同時履行の抗弁権のほかに、相手方の金銭債権の請求に対して「相殺」の抗弁を出したり、相手方の請求に対して「弁済」の抗弁を出したりする場合に使われます。保証人に対して債権者がいきなり請求してきた場合の催告の抗弁権、主たる債務者に十分資力があるのに保証人に請求してきた場合の検索の抗弁権というのも、よく出題されます。