解除
【解説】
解除という言葉は、いったん有効に成立した契約を、当事者の一方的な意思表示によって、はじめから存在しなかったのと同様の状態に戻すことを意味します。つまり、契約を白紙に戻すわけです。
このように解除というのは、一般に契約を白紙の状態に戻すことをいいますが、この解除権が発生する場合はいろいろあります。
試験でも一番出題され、よく使われる場合は債務不履行解除でしょう。当事者の一方に債務不履行があった場合に、相手方が契約を解除する場合です。
しかし、これに限りません。瑕疵担保責任でも契約の解除というのが出てきますし、手付解除というのもあります。
つまり、解除は一般的に契約を白紙に戻すことをいい、どういう場合に解除できるかというと、それはいろいろな場合がありえるということになります。
そして、契約を白紙に戻すには、まだ履行されていない債務があれば、それは履行する必要がなくなり、すでに履行された債務があれば原状回復するということになります。それでも、償(つぐな)えない損害があれば、損害賠償を請求することができます(条文の表現でいえば「解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない」ということになります。)(民法545条3項)。
このように契約を解除すると、遡及効が生じ、原状回復(元に戻す)が必要となりますが、これは売買契約のような一時的というか一回的な契約の場合には、売買の目的物を返したり、お金を返したりすることによって原状回復も可能です。
しかし、賃貸借契約や委任契約、雇用契約のような継続的な契約の場合は、単に物やお金を返すだけでは、白紙に戻したといえないような場合があります。何か月か、何年か借りたという事実は、消しようがありません。
このような継続的な契約の場合には、解除には遡及効がありません(このようなものを「解約」あるいは「告知」といって区別することがありますが、宅建試験の場合には、そのような厳格な言葉の分類というのは試験では出題されないので、あまり気にする必要はないでしょう。)。