債権の準占有者

【解説】

この「債権の準占有者」という言葉は、宅建で出題されている内容でいえば、「債権の準占有者に対する弁済」で出てくる言葉で、債権の準占有者に対する弁済は、弁済者が善意無過失のときは、弁済の効力を有し、債務が消滅します(民法478条)。

それでは、この債権の準占有者というのは、どういう意味でしょうか。
まず「占有」というのは、普通の法律用語です。占有者というのは、「自己のためにする意思をもって物を所持する」(民法180条)者のことです。すなわち、「物」を所持しているということです。

これに対して、「準占有者」というのは、「自己のためにする意思をもって財産権の行使をする場合」(民法205条)です。つまり、「物」以外の財産権を行使する者が準占有者というわけです。
たとえば、銀行に対する真の預金者であるAさんが、泥棒に入られ、預金通帳と印鑑を盗まれたとします。盗人は預金者でありませんが、Aさんの通帳と印鑑を持って銀行に預金の引き出しに行けば、銀行から見れば盗人が権利者に見えます。

このように債権者(上記の例では預金者)らしく見える者を債権の準占有者といいます。そして、この債権の準占有者に対して善意無過失で支払った場合、その弁済は有効であるとされるのが、先ほどの民法478条です。

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