遺贈、包括遺贈、特定遺贈

【解説】

この遺贈、包括遺贈、特定遺贈という言葉は、宅建でいうと「相続」に関連する部分ですから、権利関係で使われる言葉かもしれませんが、意外に法令上の制限などでも使われることがありますので、確認していきたいと思います。

まず、「遺贈」という言葉ですが、文字通り、「遺」言による「贈」与が「遺贈」になります。ただ、贈与というと贈与契約を思い出しますので、正確にいうと、遺言により無償で財産を譲り渡すこと、ということになります。
今、正確に言い直した部分については、理解できましたでしょうか?つまり、「贈与契約」というのは、契約ですから、両当事者の合意が必要となります。
しかし、遺言というのは、契約ではなく、一方的な意思表示で効力が生じる単独行為です。
したがって、遺言による贈与というと、契約なのか単独行為なのか、分かりにくい、紛らわしい表現になりますので、言い直したわけです。
遺贈というのは、遺言で行いますので、単独行為になります。

この遺贈により財産を譲り受ける者を受遺者(じゅいしゃ)といい、遺贈を履行すべきものを遺贈義務者といいます。

そして、この遺贈は、包括遺贈と特定遺贈に分かれます。

包括遺贈というのは、遺言により財産を譲り受けるときに、遺産の全部とか、遺産の何分の一という抽象的な割合で示される場合です。したがって、包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有するとされています(990条)。

特定遺贈というのは、包括遺贈のような抽象的な割合ではない場合で、特定の財産(たとえば、特定の不動産)を遺言により譲り渡すような場合のことです。

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