地方公共団体

【解説】

超基本的な用語で、「地方公共団体」について説明します。
宅建試験で登場するのは、法令上の制限一般でよく出てくる言葉だと思います。
この地方公共団体というのは、正確にいうと意外にややこしい話になりますが、宅建試験は、行政書士の試験ではありませんので、本当に基本的な部分を理解していれば十分だと思います。

地方公共団体は、大きく普通地方公共団体と、特別地方公共団体に分かれますが、宅建で必要なのは、普通地方公共団体(以下、単に「地方公共団体」といいます。)です。
そして、地方公共団体は、みなさんご存じのように二段階の制度を取っていて、都道府県と市町村に分かれます。
ここまでで結構です。要するに、地方公共団体=都道府県+市町村と覚えておけばいいです。

市町村のうち「市」もいろいろ分類できますが(宅建の本試験で、「なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする」という表現が出てくるのは、そのためです。)、その部分の内容が問われたことはないので、気にする必要はありません。

最後に、実際に宅建で出題された問題を題材に、この部分を説明して終わりましょう。
農地法の問題ですが、農地法5条の転用のための権利移動は、原則として都道府県知事等の許可が必要となりますが、例外的に許可が不要となる場合として、「地方公共団体(都道府県等を除く。)がその設置する道路、河川、堤防、水路若しくはため池又はその他の施設で土地収用法第3条各号に掲げるものの敷地に供するためその区域内にある農地を農地以外のものにする場合」(農地法施行規則29条6号)というのがあります。

この条文の最初の部分に着目して下さい。「地方公共団体(都道府県等を除く。)」という部分です。
それでは、この部分が本試験で出題されているのを見てみましょう。
「市町村が農地を農地以外のものにするため所有権を取得する場合、農地法第5条の許可を得る必要はない。」(平成15年 問23(1))」

これは、「×」です。

この本試験問題も最初の部分を見て下さい。「市町村」となっています。
つまり、条文の方で「地方公共団体(都道府県等を除く。)」ということは、地方公共団体=都道府県+市町村で、都道府県等を除くということは、市町村ということになります。
そこで、条文で「地方公共団体(都道府県等を除く。)」という部分を、ストレートに「市町村」として、本試験では出題されているわけです。

念のため、先ほどの問題は「×」ですが、その理由は、地方公共団体(都道府県等を除く。)(すなわち市町村)が農地を転用するときは、どんな場合でも許可が不要なのではなく、道路、河川などにするための転用は許可は不要ですが、それ以外の場合は許可が必要なので、「×」ということになります。

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