宅地造成等規制法2条(定義)

【解説】

1.定義

この法律も、一般の法律と同様に、その法律で使用される基本的な用語の定義について最初に規定があります。

宅建試験等では、意外に試験に出題されているので、手を抜かずにしっかり勉強して下さい。

2.宅地(第1号)

まず、「宅地」の定義ですが、いろいろと書いてありますが、要するに「農地等と公共施設以外の土地」ということです。

農地等や公共施設の土地は「宅地」には該当しません。しかし、農地等や公共施設以外の土地はすべて宅地だということです。

この公共施設の例として「道路、公園、河川」というのがあげられているということです。つまり、「農地、採草放牧地、森林、公共施設(道路、公園、河川等)」以外の土地が「宅地」だというわけです。

この公共施設については、政令でもう少し細かく規定されています。

宅地造成等規制法施行令第2条(公共の用に供する施設)
宅地造成等規制法(以下「法」という。)第2条第1号の政令で定める公共の用に供する施設は、砂防設備、地すべり防止施設、海岸保全施設、港湾施設、飛行場、航空保安施設及び鉄道、軌道、索道又は無軌条電車の用に供する施設並びに国又は地方公共団体が管理する学校、運動場、墓地その他の施設で国土交通省令で定めるものとする。

以上を図にまとめると以下のようになります。

この中で気を付けるとすれば、「国又は地方公共団体が管理する学校、運動場、墓地」という部分でしょうか。

単なる「学校、運動場、墓地」というのは、公共施設ではなく、「国又は地方公共団体が管理する」学校、運動場、墓地のみが、公共施設になります。

3.宅地造成(第2号)

宅地造成等規制法は、「宅地造成」に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行うことを目的としています。

そこで、この規制の対象となる「宅地造成」というのは、どういう行為なのかが問題となります。

この「宅地造成」の定義については、2点注意して欲しいことがあります。

まず一つ目は、「宅地以外の土地を宅地にするため又は宅地において行う土地の形質の変更(宅地を宅地以外の土地にするために行うものを除く。)」という部分です。

文章がちょっと読みにくくなっていますが、上図を見て下さい。

要するに、土地を造成した結果、「宅地」ができる場合は「宅地造成」になるわけです。

「宅地」造成という以上、宅地「以外」のものを造成しても「宅地造成」には該当しません。

なお、表中で「造成前=宅地→造成後=宅地」というのが意味が分かりにくいという人もいるかもしれませんが、たとえば、駐車場の後に、土地を造成して住宅を建てるというような場合です。

宅地造成等規制法2条1号の定義からも分かりますように、駐車場用地も「宅地」、住宅用地も「宅地」です。

したがって、土地の造成を行って駐車場の後に住宅を建てるという場合は、「宅地→宅地」というパターンになるわけです。

4.土地の形質の変更(第2号)

「宅地造成」の定義で注意して欲しい2つ目は、「土地の形質の変更」、つまり「切土」「盛土」の話です。

これは宅建試験等では、定番の出題項目です。

この「土地の形質の変更」の定義は、施行令に規定があります。

宅地造成等規制法施行令第3条(宅地造成)
法第2条第2号の政令で定める土地の形質の変更は、次に掲げるものとする。
一 切土であって、当該切土をした土地の部分に高さが2メートルを超える崖を生ずることとなるもの
二 盛土であって、当該盛土をした土地の部分に高さが1メートルを超える崖を生ずることとなるもの
三 切土と盛土とを同時にする場合における盛土であって、当該盛土をした土地の部分に高さが1メートル以下の崖を生じ、かつ、当該切土及び盛土をした土地の部分に高さが2メートルを超える崖を生ずることとなるもの
四 前3号のいずれにも該当しない切土又は盛土であって、当該切土又は盛土をする土地の面積が500㎡を超えるもの

この「切土」「盛土」というのは、上図を見てもらえれば分かりますが、建物を建てるときは、水平な土地の上に建てないといけませんので、土地を切り取ったり(切土)、土を盛ったりして(盛土)、土地を水平にします。

地盤という観点からは、盛土の方が滑りやすく安定度は弱いです。したがって、切土は「2m超」ですが、盛土の方は「1m超」とちょっと厳しくなります。

また、切土と盛土を同時に行う場合は、「盛土をした土地の部分に高さが1メートル以下の崖を生じ、かつ、当該切土及び盛土をした土地の部分に高さが2メートルを超える崖を生ずることとなるもの」ということになりますが、盛土の部分については1メートル超の崖を生ずれば、その盛土だけで「宅地造成」に該当しますので、「1メートル以下」となっています。

最後の「切土又は盛土をする土地の面積が500㎡を超えるもの」というのは、切土や盛土で1メートルや2メートルを超えるような崖を生じない場合でも、規模が大きくなれば(500㎡超)やはり「宅地造成」に該当しますよ、という意味です。

そして、この「宅地造成」については、上記の2点をともに満たしたときにのみ工事の許可が必要だという点も確認しておいて下さい。つまり、たとえ2メートルを超える切土を行った場合でも、その工事が宅地を宅地以外のものにするときは、「宅地造成」に該当せず、工事の「許可」は不要だということです。

5.造成宅地(7号)

以上で、「宅地造成」の定義の説明は終わりました。そして、この「宅地造成」の定義が分かれば、似た言葉でややこしいですが、次の「造成宅地」の定義は簡単でしょう。

「造成宅地」とは、「宅地造成に関する工事が施行された宅地をいう」ということになります。

この「造成宅地」という言葉は、「第4章 造成宅地防災区域」というところで出てきますが、この造成宅地防災区域というのは、すでに「宅地造成」がなされている区域でも、災害のおそれの大きいところは、この造成宅地防災区域というのを指定して一定の規制ができるという区域です。

詳細は、「第4章 造成宅地防災区域」で説明します。

6.災害(第3号)

この災害の定義である「崖崩れ又は土砂の流出による災害」というのは、特に問題ありません。

宅地造成等規制法が、宅地造成に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害の防止を目的とするものである以上、災害というのを、「崖崩れ又は土砂の流出による災害」に限定しているわけです。

7.設計(第4号)

この設計の定義についても、特に問題はありません。

この設計については、宅地造成等規制法9条で、一定の工事については、「政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない」旨の規定があります。

8.造成主(第5号)

この「造成主」という概念は、非常に重要というのか、宅地造成等規制法でよく出てくる言葉です。

これは建築基準法でいう「建築主」と同じで、工事を頼んだ注文者のことを指します。

造成主が出てくる一番典型的な例は、宅地造成に関する工事の許可で、これは造成主がもらうことになります。

9.工事施行者(第6号)

この第6号は第5号とセットで押さえて下さい。

工事施行者は、造成主と異なり、請負契約の請負人のことです。

したがって、造成工事を請負契約によって行う場合は、注文者が造成主で、請負人が工事施行者になります。

ただ、第5号にも第6号にも「請負契約によらないで自らその工事をする者」というのが出てきますので、請負契約によらない場合、つまり自分で造成工事を行う場合ですが、これは造成主も工事施行者も同じ人ということになります。