宅建業法65条(指示及び業務の停止)

【解説】

1.宅地建物取引業者に対する指示処分・業務停止処分

本条は宅地建物取引業者に対する指示処分及び業務停止処分に関する規定です。

その性質上、条文の引用が非常に多くなっていますので、本条の全体の仕組みについてまとめておきます。

第1項…免許権者の指示処分
第2項…免許権者の業務停止処分
第3項…免許権者以外の指示処分
第4項…免許権者以外の業務停止処分

2.免許権者の指示処分

① 業務に関し取引の関係者に損害を与えたとき、又は損害を与えるおそれが大であるとき。

② 業務に関し取引の公正を害する行為をしたとき、又は取引の公正を害するおそれが大であるとき。

③ 業務に関し他の法令(履行確保法及びこれに基づく命令を除く。)に違反し、宅地建物取引業者として不適当であると認められるとき。

本号は、「他の法令」に違反したということですが、あくまで「業務に関し」ということですので、宅地建物取引業者がその業務を遂行するにあたって遵守しなければならない業法以外のすべての法令のことです。

たとえば、建築基準法、都市計画法、宅地造成等規制法など宅地建物取引の前段階としての宅地造成または建築に関する法令などですが、他にも刑法、商法、税法など業務の遂行に当たって適用される法令も含まれることになります。

④ 宅地建物取引士が、第六十八条又は第六十八条の二第一項の規定による処分を受けた場合において、宅地建物取引業者の責めに帰すべき理由があるとき。

第68条というのは、宅地建物取引士に対する指示処分・事務禁止処分、第68条の2第1項というのは、宅地建物取引士に対する登録消除処分ということになります。

このように宅地建物取引士が監督処分を受け、その宅地建物取引士の選任・監督について宅地建物取引業者に過失が認められるような場合が本号に該当します。

3.免許権者の業務停止処分

① 前項第一号又は第二号に該当するとき(認可宅地建物取引業者の行う取引一任代理等に係るものに限る。)。

② 前項第三号又は第四号に該当するとき。

③ 第十三条、第十五条第三項、第二十五条第五項(第二十六条第二項において準用する場合を含む。)、第二十八条第一項、第三十二条、第三十三条の二、第三十四条、第三十四条の二第一項若しくは第二項(第三十四条の三において準用する場合を含む。)、第三十五条第一項から第三項まで、第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十一条第一項、第四十一条の二第一項、第四十三条から第四十五条まで、第四十六条第二項、第四十七条、第四十七条の二、第四十八条第一項若しくは第三項、第六十四条の九第二項、第六十四条の十第二項、第六十四条の十二第四項、第六十四条の十五前段若しくは第六十四条の二十三前段の規定又は履行確保法第十一条第一項、第十三条若しくは履行確保法第十六条において読み替えて準用する履行確保法第七条第一項の規定に違反したとき。

これは具体的な業法の条文が列挙されていますが、宅地建物取引業法の主要な条文はかなりカバーされています。

したがって、「ほとんど」の業法違反は、業務停止処分に該当することになります。

④ 前項又は次項の規定による指示に従わないとき。

⑤ この法律の規定に基づく国土交通大臣又は都道府県知事の処分に違反したとき。

具体的には、業務についての必要な報告の提出の命令(72条)に従わないような場合がこれに該当します。

⑥ 前三号に規定する場合のほか、宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき。

⑦ 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者である場合において、その法定代理人が業務の停止をしようとするとき以前五年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき。

⑧ 法人である場合において、その役員又は政令で定める使用人のうちに業務の停止をしようとするとき以前五年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をした者があるに至つたとき。

⑨ 個人である場合において、政令で定める使用人のうちに業務の停止をしようとするとき以前五年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をした者があるに至つたとき。

4.業務地の都道府県知事による指示処分・業務停止処分

これは、指示処分については、免許権者が行う場合と重なります。

業務停止処分についても、免許権者が行う場合とほぼ重なりますが、「当該都道府県の区域内における業務に関し」という限定がある点と、営業保証金や弁済業務保証金の供託に関連する義務違反の場合がはずされている点などが異なります。