宅建業法45条(秘密を守る義務)

【解説】

この「秘密を守る義務」ですが、俗に守秘義務といわれるものです。

宅地建物取引業者というのは、不動産という高額の商品を扱いますので、お客さんの資産状況等について知る機会があります。また、住宅のようなものも扱いますので、お客さんの家族についても知る機会が多いんです。

このように業務に関して知ったお客さんの秘密について、他人にしゃべられたのでは、宅地建物取引業者に対する社会の信頼を失います。したがって、このような守秘義務が課せられることになります。

まず、守秘義務が課せられているのは、「業務上取り扱ったこと」に限ります。「業務」とは関係なく、たまたま知ったことを他に漏らしてもこの規定に違反しません(道義的には問題かもしれませんが…)

次に、「正当な理由」があれば、秘密を漏らすことも認められます。これはよく試験に出題されます。それでは具体的に、秘密を漏らしてもよいような「正当な理由」というのは、どういう場合でしょうか。具体的には、以下の4つがあります。

① 法律上秘密事項を告げる義務がある場合

具体例としては、裁判の証人として証言を求められたとき、税務署等の職員から質問検査権の規定に基づき質問を受けたとき等が挙げられます。

② 取引の相手方に真実を告げなければならない場合

宅地建物取引業者は、依頼者に対して守秘義務がある一方、取引の相手方には取引をするにあたって重要な事項は告知する必要があります。宅地建物取引業者として取引の相手方に説明義務のある内容について、守秘義務を盾に説明を拒むことはできません。たとえば、重大な瑕疵として売主が契約解除や損害賠償を求められるようなことを、仲介業者が知っている場合は買主に告げる必要があります。

他によく問題にされるのは、過去に自殺や他人があった物件の仲介です。ケース・バイ・ケースでしょうが、心理的な瑕疵に当たるということでそれを告げる必要がある場合が出てきます。

③ 依頼者本人の承諾があった場合

これは分かりやすいと思います。秘密を守るのは依頼者のためですから、依頼者本人の承諾があった場合は、守秘義務の対象外になります。

これは、違法性が阻却されるというふうに言われます。

④ 他の法令に基づく事務のための資料として提供する場合

地価公示法に基づいて地価公示の標準地の価格の判定等のための資料として、不動産鑑定士に不動産取引事例を提供する場合などがその例になります。

最後に、「宅地建物取引業を営まなくなった後」も、この秘密を守る義務が続くというのも確認しておいて下さい。業者をやめたからといって、次の日からお客さんの秘密をペラペラしゃべられていてはたまりません。

また、「秘密を守る義務」は、宅地建物取引業者自身だけでなく、宅地建物取引業者の従業者にも課せられています。 →75条の2参照