宅建業法7条(免許換えの場合における従前の免許の効力)

【解説】

1.免許換え

宅地建物取引業の免許を取得して宅地建物取引業を行っていくうちに、事務所を新設したり、あるいは支店を統廃合したりすることがあります。

この事務所の新設、統廃合により免許権者が変わる場合があります。そのときには、免許換えというのを行うことになります。

免許換えを行う必要があるのは、以下の場合になります。

① 国土交通大臣の免許を受けた者が一の都道府県の区域内にのみ事務所を有することとなったとき。

国土交通大臣免許から、当該都道府県知事免許に免許換えになります。

② 都道府県知事の免許を受けた者が当該都道府県の区域内における事務所を廃止して、他の一の都道府県の区域内に事務所を設置することとなったとき。

従前の都道府県知事免許から、新たな都道府県知事免許に免許換えになります。

③ 都道府県知事の免許を受けた者が二以上の都道府県の区域内に事務所を有することとなったとき。

都道府県知事免許から、国土交通大臣免許に免許換えになります。

この3つの場合ということになりますが、これは一つ一つ覚える必要はなく、事務所に変動があった場合に、免許権者が変わるときは、免許換えが必要と覚えておけば大丈夫です。

事務所に変動があっても、免許権者が変わらない場合は、当然免許換えは不要で、後述の変更の届出(第9条)だけが問題になります。

また、事務所をすべて廃止する場合は、廃業の届出(第11条)をすることとなります。

また、免許換えは、免許の話ですから、あくまで「事務所」を基準にしますので、案内所等は考慮する必要はありません。

2.免許換えの場合における従前の免許の効力

この免許換えをしますと、当然従前の免許の効力は失われます。

この従前の免許の効力が失われるのは、「(新しい)免許を受けたとき」ということになります。

つまり、従前の免許が効力を失う時期は、新たな免許権者が免許申請書を「受理」したときではありません。

新たな免許権者が免許申請書を「受理」しただけで、従前の免許の効力が失われますと、免許の連続性がなくなり、空白の期間が生じてしまいますので、宅地建物取引業者としては非常に困ります。

3.免許換えの申請手続

免許換えについては、条文の引用が複雑でちょっと理解しにくいところがあります。

そこで、この免許換えの申請手続等について、これを覚えておけば理解しやすいというポイントを最初に示しておきましょう。

免許換えというのは、新しい免許権者に対して「新規に免許申請する」と考えれば理解しやすいということです。

たとえば、免許換えの審査にあたっては、事務所の調査も行います。

したがって、都道府県知事の免許を受けていた者が、国土交通大臣の免許を受けようとする場合には、まず他の都道府県に事務所を設置し、専任の宅地建物取引士を置いた上で、国土交通大臣に免許を申請し、その免許を受けて、所定の営業保証金を供託してその届出を了してはじめてその事務所において事業を開始することができることになります。

また、免許換えの申請は、新しい免許権者に申請するのであり、以前の免許権者を経由して申請するのではありません。

従前の免許権者に対しては、新しい免許権者が通知してくれます(施行規則第4条の5)。

A県知事からB県知事に免許換えをする場合は、B県知事に直接免許換えの申請をします。

そして、A県知事から国土交通大臣へ免許換えをするときは、通常の免許申請の場合と同じく、主たる事務所の所在地の都道府県知事を経由して国土交通大臣へ免許換えを申請します。

そして、免許換えを行う場合でも、従来の免許権者に廃業の届出などをする必要はありません。

なお、免許換えをしなければならない場合であるにもかかわらず、新しく免許を受けていないことが判明したときは、必要的な免許取消処分事由となります(66条5号)。

4.免許換え~有効期間の満了の場合(第2項)

本条の第2項は、いかにも法律の条文という感じの文章で、条文の引用があるのでややこしくなっています。

「第3条第4項の規定は、宅地建物取引業者が前項各号の一に該当して引き続き宅地建物取引業を営もうとする場合において第4条第1項の規定による申請があつたときについて準用する。」

このうち、「第4条第1項」というのは、免許の申請ということですから、ここでは「免許換えの申請」と読み替えられます。

さらに、「第3条第4項」というのは、免許の更新の申請があった場合に、有効期間の満了までに更新の処分がなされなかった場合に、従前の免許がなお効力を有するという規定です。

したがって、ここは「免許換えの申請があった場合に、従前の免許の有効期間の満了の日までにその申請について処分がなされないときは、従前の免許は、同項の有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なお効力を有する。」というふうに読み替えることができることになります。そこで、上記の条文を分かりやすく書き直すと、

「免許換えの申請があった場合に、従前の免許の有効期間の満了の日までにその申請について処分がなされないときは、従前の免許は、免許の有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なお効力を有する。」

というふうになります。要するに、免許換えの申請をして、免許権者がその審査をしている間に、従前の免許の有効期間が満了しても、従前の免許で宅地建物取引業を続けていいですよ、という規定になります。

[参照条文]
宅地建物取引業法第3条
4 前項の免許の更新の申請があつた場合において、第二項の有効期間の満了の日までにその申請について処分がなされないときは、従前の免許は、同項の有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なお効力を有する。
5 前項の場合において、免許の更新がなされたときは、その免許の有効期間は、従前の免許の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。

ここで、気を付けて欲しいのは、上記の[参照条文]で、第4項は準用しているが、第5項は準用していないという点です。つまり、免許換えの場合には第5項は適用されないということです。

つまり、免許換え後の免許の有効期間は5年間ですが、通常の免許の有効期間の更新の場合と異なり、免許換えの申請をして新しい免許を待っている間に、従来の免許の有効期間が満了し、その後に免許換えがなされたとき、「従前の免許の有効期間の満了の日の翌日」から5年ということではなく、「免許換えの時」から起算して5年の有効期間になります。

この免許換え後の免許の有効期間は「5年」だというのも覚えておいて下さい。

似た制度として、登録の移転後の宅地建物取引士証の交付の規定がありますが、この場合の新しい宅地建物取引士証は、5年ではなく、「残存期間」ということでした。

免許換え後の免許の有効期間は、逆に残存期間ではなく、「5年」だということです。

以上、いろいろ説明してきましたが、免許換えの規定を覚えるポイントは、「免許換えは新規免許とほぼ同じ」ということになります。このポイントで、免許換えに関する様々な規定が一本の筋としてつながります。