宅建業法2条(用語の定義)

【解説】

1.用語の定義

いろいろな法律の最初にある、その法律で使われる基本的な用語の定義の条文です。

宅建業法は、正確にいうと「宅地建物取引業法」といいます。

つまり、「宅地」とか「建物」を「取引」することを「業」として行っている者を規制する法律です。

この「宅地」「建物」「取引」「業」のそれぞれの言葉の定義が規定されています。

2.宅地(第1号)

まず、「宅地」の定義ですが、宅建業法で「宅地」というときには、「建物の敷地に供せられる土地」がそれに該当します。

「宅地」というと、普通の感じでは、建物が建っている土地というのを想像するのではないでしょうか。もちろん、建物が建っている土地は、「建物の敷地に供せられる土地」に該当し、問題なく「宅地」になります。

しかし、この「建物の敷地に供せられる土地」というのは、現に建物が建っている土地に限定されません。

建物の敷地に供する目的で取引の対象とされた土地について本号に規定する「宅地」すなわち「建物の敷地に供せられる土地」とは、現に建物の敷地に供せられている土地に限らず、広く建物の敷地に供する目的で取引の対象とされた土地をいうものであり、その地目、現況の如何を問わないものとする(「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」)。

この「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」というのは、建設省時代からの通達をまとめたものです。

以上まとめますと、

「建物が建っていれば宅地」
  ↓
「建物が建っていなくても、建物を建てる目的があれば宅地」ということになります。

このような「建物を建てる目的」がある土地を、宅地予定地、宅地見込み地といいます。これも「宅地」に該当するということです。

ここまでは、そんなにややこしくはないと思います。

「宅地」というのは、それだけではありません。第1号では、「都市計画法の用途地域内のその他の土地で、道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供せられているもの以外のものを含む」となっています。

つまり、現に建物が建っていなくても、また建物を建てる予定がない場合でも、「用途地域」内の土地は、「宅地」になります。

この用途地域というのは、都市計画法に規定されている第一種低層住居専用地域~工業専用地域までの12種類の用途地域のことです。

用途地域というのは、住宅地とか商業地のように建物を建てて開発していく土地ですので、現在は建物が建っていなくても、また建物を建てる予定がなくても、いずれは近い将来建物が建つであろうということで、用途地域内の土地は、「宅地」になります。

したがって、この用途地域内の土地であれば、駐車場や農地であって、建物を建てる予定がなかったとしても「宅地」となります。

次が、ちょっとややこしいんですが、用途地域内の土地でも、『現に』道路・公園・河川・広場・水路の用に供されている土地は「宅地」に該当しません。

用途地域内の土地は、近い将来建物が建つであろうということで「宅地」になるとされたわけですから、用途地域内の土地であっても「道路・公園・河川・広場・水路」には建物は建ちませんよね。したがって、「宅地」には該当しません。

そして、「現に」道路・公園…という、「現に」という部分も確認しておいて下さい。たとえば、「道路として計画されている用途地域内の土地は、宅地ではない」と問われたら、これは「○」でしょうか、「×」でしょうか?答えは、「×」です。道路として計画されていても、「現に」道路ではありません。したがって、用途地域内の土地ですから、「宅地」に該当します。

また、「市街化区域内の土地は宅地である」という問いはどうでしょうか。これは「○」ですね。都市計画法で勉強しますが、市街化区域は必ず用途地域を定めます。したがって、市街化区域=用途地域=宅地、という関係になるわけです。

以上が「宅地」の定義ですので、都市計画区域外の山林を山林として売却するような行為は、「宅地」の売買には該当せず、宅地建物取引業の免許を受ける必要はないということになります。 これに対して、都市計画区域外の山林であっても、宅地に造成して(つまり建物の建築を目的として)区画割りして分譲する場合には、「宅地」の売買に該当することになり、宅地建物取引業の免許を受ける必要があるということになります。

なお、宅地建物取引業法の「宅地」は外国の土地は含まず、外国の土地の売買を媒介する行為には宅地建物取引業法の適用はないというのが判例のようです(東京高判昭和61.10.15)。

3.建物

「建物」に関する定義については、宅地建物取引業法には特に規定はありません。

わずかに本条第2号に「建物の一部を含む」とあるだけです。「建物の一部を含む」というのは、分譲マンションのような区分所有建物の専有部分のように、一室として独立して取引されるものは、その専有部分一つで、一つの建物となるということです。

また、建物の用途についての限定も特にありませんので、居住用だけでなく、事務所、店舗、倉庫なども含みます。

4.売買

「売買」については、特に問題はありませんが、将来存在することとなる物件を売買する行為、つまり未完成物件の売買も「売買」に該当し、業法の規制が加えられるという点を指摘しておきます。

現に、未完成物件に関する宅地建物取引業法の規制はいくつもあります。

5.貸借

「貸借」という言葉についてですが、通常「貸借」というのは、賃貸借になります。

ただ、「賃貸」とは言わずに、「貸借」という表現が用いられていますので、「使用貸借」(民法第593条)も「貸借」に含まれます。

もっとも、使用貸借は親族間等の特別な人間関係があるような場合に限られますので、取引としてはごく少なくなります。

この「貸借」に使用貸借も含まれるというのは、後の報酬のところで出てきますが、「使用貸借の媒介の場合は、通常の賃貸借の賃料をもとに報酬の計算をする」というので分かると思います。

つまり、今の話は使用貸借も宅地建物取引業法の規制があることを前提にした話です。

6.媒介

この「媒介」という言葉ですが、一般には、仲介や斡旋というふうにも呼ばれます。これらの仲介や斡旋の法律用語が「媒介」だと思ってもらって結構です。

この媒介の内容は、当事者の間に立って契約が成立するように尽力する行為を指します。

具体的には、物件の広告、相手方の探索、紹介、権利関係・占有関係等の調査、現地案内、契約条件の交渉、契約書の作成、物件の引渡し、賃貸ですと契約時の賃料・敷金等の一時金の授受などです。

ただ、宅地建物の売買、賃貸借等の売り情報、買い情報、賃貸情報等を提供するだけの行為は、情報提供行為であり、当事者の間に立って契約の成立に向けて尽力するものでない限り、「媒介」には該当しません。したがって、報酬の請求権もないことになります。

そして、この媒介は「代理」とは異なり、契約締結権限自体はありません。あくまで「当事者が契約」できるように尽力する行為です。

したがって、契約書には媒介した者の名前を出す必要はありませんが、一般的には「立会人」「仲介人」という形で契約書に副書している場合が多いと思われます。

また、代理の場合は、物件の引渡し、金銭の授受等の債務の履行をする場合を除いて、売主・買主双方から代理の依頼を受けることは禁止されますが(民法108条、双方代理の禁止)、媒介は売主・買主双方から媒介の依頼を受けることができます。

7.取引(第2号)

(1) 自ら売買・交換

宅地や建物の「取引」というのは具体的にはどのようなものを指すのでしょうか。

まず、上図を見て下さい。自ら売買・交換をする場合は、「取引」に該当し、このような行為を「業」として行う場合は、宅建業の免許が必要となります。

この「自ら」売買・交換という表現は分かりにくいと思いますが、要するに普通の売買契約、交換契約のことです。

自分の手持ちの所有物件を売買したり、交換したりするということです。この場合、AもBも業として行う場合は免許が必要になります。ちなみに、宅建業法の後の方で「自ら売主」の場合の規制というのが出てきますが、自ら買主になる場合も「取引」に該当します。自ら「売買」する場合が、取引にあたるわけですから、「自ら売主」も「自ら買主」も取引に該当し、そのうちの「自ら売主」の場合だけ特別に8つの規制があります。

(2) 代理・媒介して売買・交換・貸借

次に、上図を見て下さい。自ら売買や交換をする場合だけでなく、売買・交換・貸借の「代理」や「媒介」といって、他人間の売買・交換・貸借の間に入ることも「取引」に該当します。

不動産業というのは、仲介業というのが大きな仕事になっているというのは、ご存じだと思います。それが、この代理、媒介です。

媒介というのが、普通の言葉では「仲介」とか「斡旋」と言われているものです。法律用語で仲介や斡旋のことを媒介といいます。

この媒介だけではなく、代理も「取引」に該当します。

それでは代理と媒介とどのように違うでしょうか。

代理は、代理人が契約を締結し、その契約の効果が本人に及ぶものでした。つまり、代理人には契約締結権限があります。それに対して、媒介の場合は、媒介人には契約の締結権限がありません。他人間の売買等について、契約がまとまるように尽力(じんりょく)する行為が媒介です。契約自体は、売主・買主等が行います。

ちなみに、上図でAはBに代理や媒介を依頼していますが、「自ら売主」となっているので、この場合のAも「取引」をしていることになります。

それと先ほど出てきた「貸借」という言葉ですが、これは典型的には賃貸借のことです。そして、「転貸」というのも「貸借」に当たります。

さて、以上「取引」というものを見てきましたが、ここで一番最初の図をもう一度よく見て下さい。

「自ら貸借」という部分が「×」になっています。これは、非常に重要です。

自ら貸借というのは、自分の手持ちの物件を人に貸すことです。大家さんなどは、自分のアパートやマンションなどを人に貸すだけですから、このような「自ら貸借」する場合は「取引」に当たらず、宅地建物取引業に該当しません。もちろん、建物だけでなく、駐車場等の土地を自ら貸借する場合も宅地建物取引業には該当しません。

ただ、賃貸の「媒介」は宅地建物取引業に該当します。「自ら貸借」が該当しません。

ちなみに、一般に賃貸業というのも不動産業に含めて考えられていますので、不動産業と宅地建物取引業は正確には異なります。つまり、賃貸業が入るかどうかの違いですね。

以上より、「自ら貸借」を行うときは、免許は不要です。

そして、そもそも「自ら貸借」は宅地建物取引業に該当しないわけですから、宅地建物取引業法の規定そのものが適用されません。したがって、免許が不要なだけではなく、重要事項の説明も不要ですし、広告の規制などもかかりません。

(3)その他の取引形態

宅地建物取引業法の「取引」に当たるのは、「売買、交換、貸借」ですから、これ以外の言葉が出てきたら、それは「取引」に該当しません。

たとえば、マンション管理業などの不動産の管理業、建設業、宅地造成等の土木業も不動産に係る業務ではありますが、宅地建物取引業には該当しません。

ただし、たとえば建設業者が、建物の建設を受注するために顧客に宅地の売買を反覆継続して斡旋すれば、宅地の売買の媒介を業として行っていますから、宅地建物取引業の免許が必要となります。

以上のように、宅地建物取引業法の「取引」に当たるのは、「売買、交換、貸借」ですから、これ以外の言葉、たとえば、宅地又は建物の「管理」とか「請負」とか「宅地造成業」とか出てきたら、それは「取引」に該当しません。

8.「業」(第2号)

(1) 不特定多数

単に「宅地」又は「建物」の「取引」を行うだけでは、宅地建物取引業には該当しません。

単に「宅地」又は「建物」の「取引」を行うだけで、宅地建物取引業に該当するとすれば、サラリーマンがマイホームを買うときにも、宅地建物取引業者になって、宅地建物取引業の免許が必要だということになってしまいます。

宅地または建物の取引を「業」として行うときだけ、宅地建物取引業に該当し、宅地建物取引業の免許が必要となって来ます。

この「業」として行うというのは、簡単にいえば、商売として行うということです。

具体的には、「不特定多数の者」に対して「反復継続して」、宅地建物の取引を行う場合が、「業」になります。

要素が2つありますので、気を付けて下さい。

一つは、「不特定多数」という点、もう一つは、「反復継続して」という点です。

まず、「不特定多数」という点ですが、不特定の反対は「特定」です。特定の者に対してだけ、宅地建物の取引を行っても、それは「業」とは言えません。

具体的には、会社が自社の従業員に対してだけ、住宅の購入のあっせん(媒介のこと)を行うような場合です。自社の従業員という具合に、相手が「特定」しています。

他には、大学の生協が自分の大学の生徒だけに賃貸アパートをあっせんするというのも同様です。

気を付けてもらいたいのは、学生専門に賃貸アパートのあっせんをするというのは、「不特定」の者を相手にしているという点です。不動産会社である限り、得意分野というものがあります。学生用のアパートに強いというのも、それですよね。この場合、学生なら誰でも相手にするという点で、「不特定」といえます。これに対して、大学生協が「自分の大学の学生」だけ相手にする場合は、対象が限定されています。これは「特定」の者を相手にしているということになります。

他の例としては、公益法人だけを対象に「取引」しているというような場合です。公益法人は世の中にたくさんありますので、公益法人だけを対象にしていても、「不特定多数」に該当します。同様の理屈です。

(2) 反復継続

次に、「反復継続」という点についてです。

1回しか取引しない者は、「業」とは言えないでしょう。

たとえば、ある人が自分の所有地を一括して誰かに売却すれば、「反復継続」に該当しないが、その所有地を区画割りして、何人かの人に分譲すれば、それは「反復継続」にあたります。

したがって、自分の所有地といえども、自分で区画割りして複数の人に売るときは、宅地建物取引業の免許が必要になります。うっかり免許を取らずに、分譲すると、無免許事業になって、罰則が適用されますので注意が必要です。

また、気を付けて欲しいのは、Aが自分の所有地を区画割りして分譲しようとして、その分譲を「一括」して、Bに媒介を依頼して、Bが分譲の媒介をした場合です。この場合、AもBも宅地建物取引業の免許が必要です。

つまり、Aは「自ら売主」として、複数の土地を売っています。Bも複数の土地の売買の「媒介」をしているわけですから、両方とも宅地建物取引業の免許が必要になるわけです。特にAについて、「一括」という言葉に騙されないようにして下さい。

なお、「反覆継続」は、個別的に判断されます。実際には取引を行っておらず、反覆して取引を行っているとはいえない場合であっても、宅建業の看板を上げて、常時営業している旨を表示していれば、「継続」して行為を行っていると言えます。「売れていない業者は宅建業ではない」というのはおかしいですよね。

(3) その他

この「業」として行うというのは、必ずしも営利を目的とするか否かは問わないといわれます。

したがって、宗教法人や公益法人等であっても不特定多数の者を相手に反覆継続して取引をすれば「業」に該当します。

例)宗教法人A寺が寺院改築費にあてるため、その所有する山林を宅地造成して60数区画に分割して一般顧客に販売分譲する行為(最決昭和49.12.16)

例)学校法人がその所有地を一団の宅地(例えば10区画以上の宅地)として造成して分譲する場合

例)競売物件である宅地建物を取得しこれを反覆継続して売却する行為

8.宅地建物取引業者(第3号)

「宅地建物取引業者」の定義自体はそれほど難しい話ではありません。

宅地建物取引業者とは、「宅地建物取引業の免許を受けて宅地建物取引業を営む者をいう。」ということになります。

まず、この条文の中で「宅地建物取引業を営む者」というのは、免許を受けている宅地建物取引業者だけに限りません。

無免許で「宅地建物取引業を営む者」は、無免許事業の禁止の規定に違反しますが、それは無免許で宅地建物取引業を営んでいるからです。

この「宅地建物取引業を営む者」(無免許も含む)という概念は、他の規定でも意味を持ち、第72条の「報告及び検査」の規定で、国土交通大臣は、「宅地建物取引業を営むすべての者」に対して、都道府県知事は、当該都道府県の区域内で「宅地建物取引業を営む者」に対して、宅地建物取引業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その業務について必要な報告を求め、又はその職員に事務所その他その業務を行なう場所に立ち入り、帳簿、書類その他業務に関係のある物件を検査させることができます。

無免許事業者も、この規定で「報告、立ち入り、検査」を受けるということになります。

次に、本条は宅地建物取引業「者」の定義ですが、宅地建物取引業者の定義のポイントは、「免許を受けて」という部分です。

宅地建物取引業を行うときには、宅地建物取引業の免許が必要ですが、その「免許を受けて」宅地建物取引業を行う者が、宅地建物取引業者になります。

免許を受けずに宅地建物取引業を行っている者は、この宅地建物取引業「者」の定義の中には該当せず、無免許事業を行っている者であり、

また、逆の言い方をすれば、免許を受けていれば、営業保証金などを供託していなくても宅地建物取引業者に該当します。

9.免許が不要となる例外

以上の原則に対して、例外的に免許を受けていなくても、宅地建物取引業を行うことができる場合があります。

それぞれについては、条文を上げておきますので、各条の解説を参照して下さい。

① 信託会社・信託銀行 →77条
② 国・地方公共団体等 →78条1項
③ みなし宅地建物取引業者 →76条

10.宅地建物取引業者の法的立場

宅地建物取引業者の定義のついでに、宅地建物取引業者の法的な立場について触れておきます。

宅地建物取引業者というのは、自ら売買・交換するときは、売買契約の当事者ですが、相手方の探索や契約の成立までの仲介の仕事の場合は、法律行為でない事務の委託ということになり、準委任契約ということになります。

準委任契約は、委任の規定がまるまる準用されますので、結局基本的には委任の規定に従うことになります。 →民法656条参照

したがって、宅地建物取引業者が善管注意義務に違反した場合、債務不履行ということになり、損害賠償責任を負わされることになります。

この場合に、依頼者にも過失があったとして過失相殺による損害賠償額の軽減をすることは原則として許されないのではないかと考えられます。

依頼者は、業者の業務上の知識や経験を信頼し、取引に過誤がないようにするため報酬を支払って業者を利用しているわけですから、容易に過失相殺の主張を認めるべきではないからです。

ただ、取引当事者自身の債務不履行による場合には、宅地建物取引業者は原則として責任を負いません。

たとえば、売主が第三者に二重譲渡したとか、当事者が詐欺等の不正行為を行ったような場合です。

このような場合に、宅地建物取引業者が十分に注意してもこれらの行為を防ぐことができなかった場合は、宅地建物取引業者に過失なしということになります。

ただ、実際には宅地建物取引業者は不動産取引のプロですから、宅地建物取引業者に過失なしということで、宅地建物取引業者が免責されるのは難しいようです。

最後に、まとめとして、民法上の委任・準委任と宅地建物取引業者の比較の表を載せておきます。