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借地借家法34条(建物賃貸借終了の場合における転借人の保護)

【解説】

1.借家権の譲渡・転貸

賃借権の譲渡・転貸について、借家の場合はどうなるでしょうか。

実は、これについては借地借家法では、本条の転借人保護の条文しかなく、ほとんど条文がありません。

ということは、これは民法の原則通りいくということになります。

借地の場合、賃借権の譲渡・転貸は、地主の承諾がなくても、それに代わる裁判所の許可という制度がありましたが、そのような条文がないのです。

したがって、借家の場合は、賃借権の譲渡・転貸をしようとすると、原則通り家主の承諾が必要で、家主の承諾なく勝手に賃借権の譲渡・転貸をすると、家主から賃貸借契約を解除されてしまいます。

これは非常に重要です。

土地の場合は、使う人によって痛み方はそんなに異ならないのに対して、建物の場合は、これは使う人によって、かなり傷み方は異なってきます。そこで、当事者間の信頼関係が重要で、勝手に賃借権の譲渡・転貸ができないわけです。

2.賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了

それでは、借家を地主の承諾を得て適法に転貸した場合の法律関係について見ていきましょう。

まず、賃貸人と賃借人の間の原賃貸借が普通に期間満了又は解約申入れによって終了した場合はどうなるか。

もちろんこの場合は、更新が問題になるわけですが、正当事由を満たしたり、賃借人も更新を望まなかった場合は、円満に終了します。

そのときは、転貸借はどうなるか?これは、特に考え込む必要はありません。当然転貸借も終了します。

転貸借というのは、あくまで原賃貸借が存在することを前提に成立するものだからです。賃借人は、自分から賃貸人から借りる権限もないのに人に貸すことはできません。

この結論はやむを得ないわけですが、転借人は突然追い出される可能性が出てきます。これはかわいそうだろうということで、出ていくのに一定の猶予が与えられています。

それが、「建物賃貸借終了の場合における転借人の保護」という本条の規定です。

内容は、家主の承諾を得て、適法に借家の転貸がなされた場合に、「建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の『通知』をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない。建物の賃貸人がこの通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から『6月』を経過することによって終了する。」という規定です。

つまり、原賃貸借が終了すれば、転貸借も終了するという原則は維持した上で、突然追い出される転借人のことを考慮して、賃貸人は、転借人に通知しなさい。通知をすれば6か月後転貸借は終了するが、通知をしないと、原賃貸借の終了を転借人に対抗できず、転借人を追い出せません、としているわけです。

「6か月」というのは、数字を含めて覚えておいて下さい。この「6か月」ですが、借地借家法は、借家人が次の家を探すのに必要な期間だと考えているという話はしました。

ただ、この規定はあくまで賃貸人が転借人に賃貸借の終了を対抗できないということですので、賃貸人は「賃借人」には賃貸借の終了を主張できます。

3.賃貸借が合意解除によって終了

原賃貸借が、「期間満了又は解約申入れ」ではなく、賃貸人・賃借人間の合意解除で終了した場合はどうでしょうか。

原賃貸借が終了すれば、転貸借も終了するのが原則です。

原則はその通りですが、判例は、原賃貸借が賃貸人・賃借人の合意解除によって終了した場合は、この合意解除は転借人に対抗できないとしています。

「合意解除」というのは、「合意」解除というくらいですから、これも一種の契約です。2年の契約で賃貸借を結んだが、1年後に賃貸人・賃借人の両当事者が、「合意」で、つまり契約でこの賃貸借契約を解消することです。

今の説明で分かりますように、賃借人の勝手な行為で転借人が不利益を受けることになるので、判例はこれを認めていません。

4.賃貸借が賃借人の債務不履行によって解除

原賃貸借が、「期間満了又は解約申入れ」ではなく、原賃貸借が賃借人の賃料不払いなどの債務不履行で終了した場合はどうか?

判例は、今度は合意解除の場合とは状況が異なる、と考えています。

この場合、賃借人に責任があるわけだから、これによって賃貸人の解除権の行使を制約すべきではない。

したがって、賃貸人の解除による原賃貸借の終了を転借人に対抗できるとしています。