借地借家法27条(解約による建物賃貸借の終了)
【解説】
1.期間の定めのない建物賃貸借の終了
前条(26条)は、期間の定めのある賃貸借の場合の話でした。次は期間の定めのない賃貸借の場合の終了の仕方です。
この場合は、期間の定めがないわけですから、そのままにしておきますと、ずっと賃貸借は継続しますので、特に問題は生じません。
ところが、賃貸人か賃借人のどちらかが賃貸借を終了したいと思った場合はどうするのか?答えは簡単で、「相手に対して賃貸借を終了したい」と言えばいいわけです。
このように「期間の定めのない賃貸借」において、賃貸借を終了させることを「解約申入れ」といいます。「解約申入れ」という言葉は、「期間の定めのない」賃貸借の話です。
このように、期間の定めのない賃貸借を終了させるには、相手方に「解約申入れ」というのをすればいいんですが、「今日言って、明日出ていく」というのは、急すぎて困ります。賃借人は次に住む所を探さないといけないし、賃貸人は次の賃借人を探さないといけません。
ところで、このような期間の定めのない賃貸借の解約申入れの話は、民法の賃貸借でも出てきたと思います。つまり、この解約申入れがあった場合は、土地の賃貸借については1年後、建物の賃貸借については、3ヶ月後に終了することになります。これは期間も含めて覚えておいて下さい。
特に試験的に重要なのは、建物の「3ヶ月」です。これが民法の原則です。
そして、「賃借人」が解約申入れをする場合は、この民法の原則がそのままあてはまります。したがって、賃借人の解約申入れがあれば、賃貸借は3か月後に終了する。
しかし、賃貸人が解約申入れした場合は、そうはいきません。借地借家法の条文を見ましょう。「建物の『賃貸人』が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する。」ということになります。
この「6か月」というのは、借家を考える際にポイントになります。つまり、借地借家法は建物「賃借人」が、次の住む家を探すのには6か月は必要と考えています。
この考えは随所に出てきます。前に説明した「更新拒絶の通知」も「1年前から6か月前」でしたよね。ここの賃貸人からの解約申入れも同様です。
しかも、賃貸人からの解約申入れには、「正当事由」が必要です。6か月待てば、確実に出ていってもらえるというわけではないのです。というより、この「正当事由」は満たすのは非常に困難なので、この解約申入れが認められることは珍しいということになります。
また、使用継続による更新というのは、この場合にも適用されます。したがって、例外的に解約申入れに正当事由があって、6か月が過ぎても賃借人が使用継続し、これに遅滞なく賃貸人が異議を述べなければ、賃貸借は継続することになります。