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借地借家法24条(建物譲渡特約付借地権)

【解説】

1.建物譲渡特約付借地権とは

建物譲渡特約付借地権も、借地権の更新がないという点では他の定期借地権等と共通です。

ただ、建物については譲渡特約を付けるというものです。

借地権を設定した場合に、地主は期間がくれば土地を返してほしいと思います。

他方、借地人は建物所有目的で土地を借りたわけだから、その建物にずっと住み続けたいと思うわけです。だから、普通の借地権では更新というのが認められていたわけですよね。

この両者の思いを満たしてあげようというのが、この建物譲渡特約付借地権です。つまり、借地権設定から30年経過したとします。このとき、借地権は更新せず終了して、土地は地主に帰ってきます。

しかし、それでは借地人は追い出されてしまいます。そこで、借地権は終了するけれども、借地上の建物に譲渡特約を付けて、地主に建物を譲渡します。地主としては、土地が建物付きで戻ってくるわけですよね。

そして、建物は地主のものになるけれども、「借地権者が請求をしたときは、請求の時に、その建物につきその借地権者と借地権設定者との間で期間の定めのない賃貸借がされたものとみなす。」(第2項)としています。

当初の30年は、借地人は建物を建てて自己所有の建物として住んでいます。ところが、30年を経過すると、その建物は地主に譲渡して、それ以後は賃借人としてその建物に住むことができます。

地主としては、借地権は終了して土地は戻ってきた。借地人としては、借地権は終了したけれども、建物の賃借人として住むことができ、建物から出ていかなくてよい、ということになります。これが建物譲渡特約付借地権です。

普通の借地権でも、建物買取請求権というのがありますが、あれは建物を譲渡するだけで、借地人に建物の賃借権というのが保証されていません。

この建物譲渡特約付借地権のポイントは、まず期間は30年以上ということ。これは普通の借地権と異なりません。

次に、先ほど説明したように、建物の譲渡とともに「期間の定めのない賃貸借」がなされたものとみなされるという点。

2.書面

この建物譲渡特約付借地権は書面で契約する必要がありません。

この建物譲渡特約付借地権は、定期借地権の中で一番複雑な感じがするので、これこそ書面が必要という気がしますが、これは法律上書面は要求されていないというだけで、当然当事者としては書面を作成しておくべきであるのは当然です。