借地借家法23条(事業用定期借地権等)
【解説】
1.事業用定期借地権
事業用の定期借地権は、一般の定期借地権が、特に借地権の目的が限定されないのに対し、あくまで事業用に限定されています。
もちろん、契約の更新も建物買取請求権も認められません。
2.「事業用」の意義
そして、この「事業用」という点で重要なのは、専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的として借地権を設定する場合に利用される定期借地権だという点です。
居住用の建物を所有する目的で設定する場合は、この事業用の借地権は利用できません。
この点で、ちょっとややこしいのは、賃貸事業者が居住用のマンションを建てる場合には設定できないという点です。
意味は分かりますか?つまり、賃貸事業者にとっては、居住用マンションというのは、自分の商売のためであって、まさに「事業用」といえます。しかし、賃貸事業者にとって事業用でも、これはあくまで「居住用」のマンションです。したがって、このような場合にはこの事業用定期借地権は設定できません。
3.事業用定期借地権の期間(第1項、第2項)
この事業用定期借地権については、第1項で「30年以上50年未満」を規定し、第2項で「10年以上30年未満」と分けて規定していますが、これは通常の借地権は30年未満というのを認めていませんので、適用を除外する規定が異なるためで、要するに事業用定期借地権は「10年以上50年未満」の範囲で認められて、契約の更新も建物買取請求権も認められないということになります。
10年以上という短期の借地権も認められているのは、たとえば郊外型の店舗やレストランなどの事業用の建物なら、10年や20年といった期間でも、建物の償却が可能な場合がありますので、そのような需要にこたえるものです。
4.公正証書(第3項)
この事業用借地権で重要なのは、公正証書で契約しなければならないという点です。これは公正証書以外の書面ではダメです。