借地借家法5条(借地契約の更新請求等)
【解説】
1.法定更新~借地契約の更新請求
借地権の存続期間のところで、借地権は最低30年だという話をしました。しかし、建物というのは木造であれ鉄筋コンクリート造であれ、30年以上もつ建物がほとんどですね。つまり、30年ではまだ足りない。
借地借家法は、とりあえず借地権は最低30年と定めておいた上で、まだ長くもつ建物のために、さらなる借地権の存続期間の延長の措置を定めています。法定更新の制度です。
仮に当事者が、借地権の存続期間を30年と定めたとします。30年が経過しました。そこで、当事者が話し合った末、借地権を更新できたとします。これは普通の合意更新であり、問題はありません。これは「法定」更新ではありません。
それでは、当事者でこのような話し合いがなかった場合、あるいは話し合いがつかなかった場合はどうか。借地借家法は、こういう場合は少々強引な方法で、借地権を更新させていきます。これが法定更新という制度です。
まず、借地借家法で「借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。」と規定されています。
要するに、借地権者(借主)が「更新請求」をすれば借地権は更新されます、ということです。これは、借地権者にとって非常に有利です。なにせ「更新してくれ」と言うだけで、更新される制度ですから。まさに、借主(借地人)保護です。
この更新請求による法定更新が認められるのは、「建物がある場合に限り」です。初めに説明しましたように、法定更新の制度が認められるのは、建物は30年以上もちます、ということが根拠になっているわけですから、すでにその建物がないのに、借地権の更新を認める必要はありません。
次に、「従前の契約と同一の条件」で更新されるという点ですが、これはその通りの意味なんですが、存続期間だけは例外です。30年経過して、更新後さらに30年というのは長すぎます。更新後の期間については前条(第4条)に規定があり、小刻みに行きます。最初の更新後は20年、その後の更新後は10年ごとになります。
「ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。」ということになります。
2.使用継続による法定更新
法定更新というのは、「借地契約の更新請求」以外にもう一つあります。使用継続による法定更新で、「借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、同様とする。」というものです。
これも完全な借主保護です。借地人は、「そのまま居座り続ければ、そのまま居座っていてもいいですよ。」という制度です。借地人にとっては、いい制度ですよね。
「建物がある場合に限り」という点も確認しておいて下さい。
この法定更新の制度は、「転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする土地の使用の継続を借地権者がする土地の使用の継続とみなして」更新が認められますので、これも確認しておいて下さい。
つまり、転借地権者が居座っていても、更新が認められるということです。