履行確保法11条(住宅販売瑕疵担保保証金の供託等)
【解説】
1.住宅販売瑕疵担保保証金の供託等(第1項)
宅地建物取引業者に対し一定の金額の保証金(住宅販売瑕疵担保保証金)の供託をすることを原則とした規定である。供託金額については、一定の基準日における引渡し実績を基に決められている。
この住宅販売瑕疵担保保証金は、「基準日において、…供託をしていなければならない。」とされていることから分かりますように、宅地建物取引業者は、基準日までに供託をしておくことが必要です。
2.供託金額(第2項)
具体的な供託金額は別表に規定されていますが、念のため、だいたいの金額をつかんでもらうために以下に別表を抜粋しておきます。
・一以下の場合…二千万円以下
・一を超え十以下の場合…二千万円を超え三千八百万円以下
・十を超え五十以下の場合…三千八百万円を超え七千万円以下
・五十を超え百以下の場合…七千万円を超え一億円以下
・百を超え五百以下の場合…一億円を超え一億四千万円以下
・五百を超え千以下の場合…一億四千万円を超え一億八千万円以下
・千を超え五千以下の場合…一億八千万円を超え三億四千万円以下
・五千を超え一万以下の場合…三億四千万円を超え四億四千万円以下
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・三十万を超える場合…四十五億九千万円を超え百二十億円以下
また、「当該宅地建物取引業者が住宅瑕疵担保責任保険法人と住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結し、保険証券又はこれに代わるべき書面を買主に交付した場合における当該住宅販売瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅を除く。」となっているのは、要するに住宅販売瑕疵担保責任保険に入っている新築住宅は、供託金額を決定する際の引渡し実績には含めません、ということを意味しているわけです。
つまり、結局は保証金の供託又は保険のどちらかの履行確保の措置をとっていればいいということですが、あくまで基本は保証金の供託で、保険に加入していれば供託はしなくてもよい、という流れは確認しておいて下さい。
3.小規模な住宅の特例
瑕疵担保保証金の戸数の計算について小規模な住宅の特例が定められています。具体的には、販売新築住宅のうち、その床面積の合計が55㎡以下のものは、その二戸をもって一戸と計算されます。
4.売主が二以上の場合(第4項)
この規定は分かりにくい定めになっていますが、大規模なマンション等の場合には、複数の宅地建物取引業者が共同で販売するという場合がありますが、この場合の住宅品質確保法の瑕疵担保責任は、その複数の宅地建物取引業者が連帯して責任を負います。
このような場合にすべての宅地建物取引業者に全額の資力確保措置を負わせることは過剰な規制となるので、戸数を分割してカウントできるようにした規定です。
具体的には、宅地建物取引業法第37条第1項の規定により宅地建物取引業者それぞれの負担の割合が記載された書面を買主に交付した場合については、その負担割合で戸数を分割してカウントできるようになっています。
5.有価証券での供託(第5項)
住宅販売瑕疵担保保証金を有価証券で供託できるというのは、宅地建物取引業法の営業保証金の場合と同様です。
6.供託所(第6項)
住宅販売瑕疵担保保証金の供託は、当該宅地建物取引業者の主たる事務所の最寄りの供託所だというのも、宅地建物取引業法の営業保証金の場合と同様です。