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履行確保法8条(住宅建設瑕疵担保保証金の保管替え等)

【解説】

1.住宅建設瑕疵担保保証金の保管替え等

住宅建設瑕疵担保保証金は、「主たる事務所」のもよりの供託所に供託しなければいけません。

ということは、「主たる事務所」が移転して、もよりの供託所が変われば、何らかの形で移転後の主たる事務所のもよりの供託所に住宅建設瑕疵担保保証金を移動させないといけないことになります。

この保証金の移動の仕方は、金銭のみで保証金を供託している場合と、供託している保証金に有価証券が含まれる場合とで移動の仕方が異なります。

このあたりは、宅地建物取引業法を勉強している方は、営業保証金の保管替えと同じですので、理解しやすいでしょう。

2.金銭のみで供託している場合(第1項)

金銭のみをもって住宅建設瑕疵担保保証金の供託をしている場合は、遅滞なく、住宅建設瑕疵担保保証金の供託をしている供託所に対し、費用を予納して、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への住宅建設瑕疵担保保証金の保管替えを請求しなければならない。

ポイントは、移転前の現在供託している供託所に対して保管替えの請求をする(移転後の供託所に請求するのではない)という点です。

3.有価証券又は有価証券及び金銭で供託している場合(第2項)

有価証券又は有価証券及び金銭で住宅建設瑕疵担保保証金の供託をしている場合は、遅滞なく、当該住宅建設瑕疵担保保証金の額と同額の住宅建設瑕疵担保保証金の供託を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所にしなければならないことになります。

つまり、移転前の供託所に供託している保証金をそのままにした上で、新たに移転後の供託所に供託することになるので、一時的に二重供託の状態になります。

そこで、この二重供託の状態を解消するために、移転後の供託所に供託したときは、移転前の主たる事務所の最寄りの供託所に供託をしていた住宅建設瑕疵担保保証金を取り戻すことができます。