農地法4条(農地の転用の制限)

【解説】

1.転用の意義

この転用は権利移動と異なり、売買などは行いません。

Aさんなら、Aさんが持っている農地をAさん自身が宅地などに転用してしまう場合です。これは農地が減りますので困ります。そこで、都道府県知事の許可がいるというのが、この4条の「転用」の規制です。

まず最初のポイントは、「農地を農地以外のものにする」場合に転用の許可が必要だという点です。

ここには、採草放牧地というのは現れない。つまり、採草放牧地を採草放牧地以外のものにするには、この4条の許可は不要だということです。

農地法というのは、採草放牧地より農地を保護しています。これは日本の場合、採草放牧地より農地が重要だというのは理解できると思います。

また、この転用については、よく一時的な転用が問題になります。たとえば、資材置き場にするために6ヶ月間だけ転用するような場合です。

しかし、一時的な転用だからといって4条の許可を不要とするような例外は定められていませんので、一時的な転用も4条の許可が必要だというのは覚えておいて下さい。

2.許可主体

次は、この転用の許可は、都道府県知事が行います。

権利移動のように農業委員会ではなく、いきなりワンランク上の都道府県知事の許可になるわけです。

というのは、権利移動では農地を使う人は変わりますが、農地は減りません。ところが、転用では農地は減ってしまいます。そこで、いきなり都道府県知事が許可主体になるわけです。

3.許可不要の場合

この4条の許可についても、許可が不要となる例外があります。

(1) 5条第1項の許可に係る農地をその許可に係る目的に供する場合(第1項1号)

5条の「転用のための権利移動」というのは、当然転用することを前提に許可をもらっているわけですから、その許可に係る目的に供する場合には、改めて転用(4条)の許可は不要だということで当然のことです。

(2) 国又は都道府県が、道路、農業用用排水施設等の施設のため転用する場合(第1項2号)

これは、法改正があったところです。

国又は都道府県が農地を転用する場合には、「道路、農業用用排水施設」など一定の施設の用に供する場合には、許可が不要という規定です。

逆に言うと、それ以外の場合には許可が必要ということになります。

「国又は都道府県が農地を農地以外ものにする場合、その目的を問わず、農地法の許可が不要」という問題は、「その目的を問わず」という部分が「誤り」になります。

(3) 土地収用法その他の法律による場合(第1項6号)

権利移動の場合と同じです。

(4) 市街化区域の特則(第1項7号)

市街化区域内の農地を転用する場合は、あらかじめ農業委員会に届け出れば4条の許可は不要だということです。

市街化区域というのは、もともと建物などを建てて市街地として開発していく区域です。それならば、農地を宅地等に転用することは、農業委員会に届出さえすれば認めよう、都道府県知事の許可までは不要としようということです。

これに関連して、この例外は3条の権利移動では認められていないということを確認しておいて下さい。

つまり、3条の権利移動では、市街化区域内の特則はないんです。ということは、市街化区域内の農地を権利移動(たとえば、売買)する場合でも、原則どおり農業委員会(又は都道府県知事)の許可が必要だということです。この点も非常に重要です。

(5) 耕作の事業を行う者がその農地を農業用施設に供する場合(施行規則32条1号)

これは要するに「農地なんだから、農業用施設を作るための転用は許可なく行っていいよ」という意味です。

そして、農地は「2アール未満のものに限る」という点を確認しておいて下さい。

(6) 土地区画整理法に基づく土地区画整理事業等により公共施設を建設する場合(施行規則32条5号)

これは土地区画整理法という法律に道路等の公共施設を転用する場合ですので、分かりやすいと思います。

(7) 地方公共団体(都道府県を除く。)がその設置する道路等の施設の敷地に供する場合(施行規則32条6号)

この規定も簡単にいうと、市町村が道路などの公共施設のための転用は許可なくできます、という意味です。

最初に「地方公共団体(都道府県を除く。)」というのが出てきます。地方公共団体というのは、都道府県と市町村ですよね。したがって、ここの文章の主語は、「市町村」ということです。

そして、この規定の意味は、市町村が行う転用は原則的には許可が必要ですが、公共施設の敷地に供するための転用に限っては許可なく認めましょう、という内容です。

4.許可の条件(第4号)

この農地法4条の許可も、「条件をつけることができる」という点を押さえて下さい。

5.罰則等

4条に違反して無許可で転用すれば、権利移動の場合と同様、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます(64条1号)。

それだけではなく、農林水産大臣又は都道府県知事は、この規定に違反した者又はその一般承継人(相続人など)に対して「許可を取り消し、その条件を変更し、若しくは新たに条件を付し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて原状回復その他違反を是正するため必要な措置をとるべきことを命ずることができ」ます(51条1項1号)。