民法716条(注文者の責任)

【解説】

本条は、請負人がその仕事について第三者に損害を加えた場合に、注文者は損害賠償の責任を負わないことを規定している。

この規定は、使用者責任と異なり、請負契約では、請負人の行為は請負人の事業の執行ですから、使用者責任のような責任を注文者は負いませんので、本条の規定は当然のことを注意的に規定したものと考えられます。

なお、請負契約の対象が建物その他の工作物であった場合、第717条に「土地の工作物等の占有者及び所有者の責任」が規定されていますが、これは建物が完成した後の所有者又は占有者の責任であって、本条の注文者の責任は、いわば建築「工事中」の事故などについての規定です。

次に、本条但書ですが、注文者は本条本文で請負人の仕事について責任を負いませんが、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、注文者の過失によって第三者が損害を受けているわけですが、普通に第709条の一般不法行為の責任を注文者が負うのであるから、この但書も当然のことを注意的に規定したものと考えられています。