民法706条(期限前の弁済)

【解説】

本条は、債務者による期限前の弁済の返還請求を否定しています。期限前の弁済であっても、一応債務は存在していますので、法律上の原因がないとはいえません。したがって、弁済によって債務は消滅し、債権者に利得があるとはいえないからです。

ただ、厳密には債務者が期限前の弁済をすることによって、債権者は、弁済期までに給付を受けたことによる利益(利息)は不当利得しているとはいえます。他方、期限前の弁済は債務者による期限の利益の放棄といえることも多いでしょう。

そこで、債務者が錯誤によって給付をした場合に限り、債権者が得た利益の部分について、債務者に返還請求を認めています。