民法651条(委任の解除)

【解説】

委任契約というのは、当事者の信頼関係を基礎にしています。この当事者の信頼関係という観点は、委任契約の締結の場面だけでなく、当然解除の場面にも関係してきます。

委任契約には「無理由解除」というのが認められています。これは文字通り、委任契約の当事者は、相手方の債務不履行等の事由がなくても、理由なく解除できるというものです。

普通の契約ではこのような解除というのは、考えられないでしょう。理由なく解除できるというのは、相手方にとっては迷惑以外の何ものでもないからです。

民法の規定では、「委任は、『各』当事者が『いつでも』その解除をすることができる。」となっています。これが無理由解除です。

「各」当事者という点は確認しておいて下さい。委任者側からも受任者側からも無理由解除ができるという意味です。お互いが信頼できなくなった状態で委任契約を継続することは困難です。委任契約の基礎にある信頼関係がなくなれば、委任契約自体が存続できなくなるということになります。

この話を読んでいて、「確かに信頼関係はなくなっているかもしれないが、そんなに何時でもおかまいなしに契約を解除されたら相手も困るのではないか?」と思われた方もおられると思います。

それはその通りで、民法もそれは考慮しています。第2項で「当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。」としています。

要するに相手の不利な時期に解除をした者は、相手に対して損害賠償しなさい。ただ、やむを得ない理由で解除した場合は、損害賠償は不要ですよ、ということです。