民法641条(注文者による契約の解除)

【解説】

請負契約と同じ労務提供型の契約である委任契約においては、当事者の信頼関係が重要でしたので、両当事者に無理由解除(651条)というのが認められていましたが、請負においてはこのような形の解除は認められていません。

ただ、請負は「注文者のために」仕事の完成を目的にして契約しているわけですから、「注文者」が仕事の完成が不要になった場合は「注文者」からの解除が認められています。

たとえば、建築請負契約で、建物は9割ほど完成していても、注文者がその建物が不要になれば、請負人は残りの1割の仕事をしても無意味です。もちろん、9割まで仕事をしてきた、請負人に対しては損害を賠償する必要はあります。しかし、逆にいうと損害さえ賠償すれば勝手に解除できます。

このときの注文者の解除権は、請負人の債務不履行などの事由は不要です。いわば注文者だけにある無理由解除みたいなものです。仕事の完成が不要になるというのは、注文者の勝手な事情ですから。

念のため確認しておきますが、「注文者」には解除権がありますが、「請負人」にはこの解除権はありません。

もちろん請負人は、注文者に債務不履行があれば、通常の債務不履行解除はできます。