民法502条(一部弁済による代位)

【解説】

1.一部弁済よる代位(第1項)

本条は、一部弁済があった場合に、代位者が弁済をした価額に応じて、債権者とともに権利を行使できる旨を規定している。

そもそも債権の一部について第三者が弁済した場合、その弁済者は債権者に代位することができる(一部代位)。ただ、一部の弁済ですから、債権者も依然として残額について債権を有していますので、この両者の権利はどのような関係に立つかというのが問題になります。

第1項では、「代位者は、その弁済をした価額に応じて、債権者とともにその権利を行使する」としていますが、非常に簡単な規定ですので、具体的にどのようになるのかについて問題が生じます。

たとえば、被担保債権が2,000万円で、不動産の価値が1,000万円だったとします。そして、保証人が1,000万円の弁済をしたとします。

この場合、保証人は一部「代位」できるわけですが、「代位」というのは債権者に代わるということですから、抵当権のような担保権の実行なども可能となります。しかし、「一部」の代位ですから、抵当権になどの実行は債権者と共同しなければできないのか(共同行使説)、代位者が単独で実行することができるのか(単独行使説)が問題になります。

次に、抵当権が実行された場合の配当について、まず債権者が優先するのか(債権者優先説)、債権者の残債権額と保証人の弁済額を按分して配当を受けることができるのか(按分比例説)、が問題となります。上記の例では、抵当権の配当の1,000万円を、債権者優先説では、債権者(1,000万円の残債権)が全額取得するのに対し、按分比例説では、債権者(1,000万円の残債権)と保証人(1,000万円の弁済額)が500万円ずつ受領することになります。

これについては、かつては抵当権者と一部代位者の地位を平等なものとして、両者は独立して抵当権を行使することができ、配当についても債権額に応じて按分して配当を受けることができるとしていた(単独行使・按分比例説)。しかし、これでは債権者を害して代位者を保護することになり、代位弁済制度の趣旨を逸脱するとされている。

そこで、共同行使・債権者優先説が有力とされている。判例も、抵当権実行による配当については債権者が優先することを認めている。(最判昭60.5.23)

2.契約の解除権(第2項)

第2項では、前段において一部弁済において残債務が履行されない場合の債務不履行の解除は、債権者のみが行うことができる旨を規定している。

これについては、いろいろ考え方があるようだが、通説は、もともと弁済による代位というのは、契約当事者の地位の移転ではないので、そもそも解除権というのは、債権者から代位者には移転しないと考えます。この考え方によると、一部代位だけでなく、全部代位の場合にも、代位者は解除権を有しないことになります。

それでは、第2項前段はどういう意味かというと、後段を導くためのものだということになります。そして、第2項後段は、債権者が契約を解除した場合は、債権者は代位者に対して、弁済をした価額及びその利息を償還しなければならないと定めています。

これは、当然でしょう。契約が解除されているので、契約(債権)はなかったことになりますので、その弁済を受けた債権者は不当利得の返還義務を負います。そこで、悪意の受益者に準じて、弁済額及び利息の償還義務を定めています。