民法297条(留置権者による果実の収取)

【解説】

留置権というのは、優先弁済権や目的物の使用・収益権を有しないとされるが、本条は留置物から生じる果実については、その収取の権利を与え、優先弁済権を与えた規定です。

ただ、この規定は「果実」について優先弁済権を認めたものですから、留置権者自身が目的物を留置している間の使用については、果実ではなく不当利得で解決すべきものだとされています。

たとえば、必要費の償還請求権を被担保債権として、家屋に適法に留置権を行使している場合、つまり家屋に住み続けているときに、その利益(家賃相当額)を賃借人は不当利得として返還しなければいけません。

適法に留置権を行使しているわけですから、家賃は支払わなくてもよいと考える人もいるかと思います。しかし、留置権というのは、あくまで今の事例でいうと必要費の償還を促すために認められたものであって、分かりやすく言えば、「タダで住む権利」まで賃借人に与えるものではないからです。