民法281条(地役権の付従性)

【解説】

上図の事例を見ながら説明しますが、地役権というのは甲地という「土地」の便益のために設定されるという点を注意して下さい(280条)。Aという「人」の便益ではありません。

つまり、甲地という狭い道にしか面していない特徴のある「土地」のために、地役権を設定するという考え方です。

これが分かっていれば、本条の地役権の「付従性」というものがよく理解できます。付従性というのは、地役権は要役地の所有権の「従たる」権利だということです。したがって、要役地所有権に従います。

Aが要役地である甲地をCに売却したとします。そうすると、甲地の所有権は、AからCに移動しますが、それに伴って地役権もCに移動します。甲地の所有権と切り離して、土地所有権のみを譲渡したり、地役権のみを譲渡したりできません。要役地所有権と地役権は、くっついているということです。つまり、Aという「人」の便益のためではなく、甲地という「土地」の便益のために地役権があるということです。

ただ、ここから話が少しややこしくなりますが、先ほど説明しましたように、土地のみの譲渡、地役権のみの譲渡というのは、認められません。特に地役権のみの譲渡というのは、例外なく認められません。

ところが、地役権を切り離した土地のみの譲渡というのは、当事者間(先ほどの例でいうとAとCのこと)に特約があれば、例外的に認められます。

つまり、地役権のみの譲渡は絶対ダメだが、土地のみの譲渡というのは例外的には認められるということです。

この違いというのは、よく考えてもらえれば理解できるし、覚えることもできます。AがCに土地のみを譲渡した場合と、地役権のみを譲渡した場合というのをイメージしてみて下さい。地役権のみの譲渡というのは、ちょっとイメージできないですよ。Cは、甲地を譲り受けることなく、地役権だけをもらっても仕方がありません。地役権だけをもらうということは、甲地には住んでいないのに、乙地を通る権利だけもらうということですから。これは特約があっても認められません。

ところが、Cが地役権はもらわずに、土地所有権だけをもらうというのは意味がある場合があり得ます。Aは車に乗っているので、狭い道では困るが、Cは車にも乗らないので、狭い道でもいいよ。わざわざBにお金を払ってまで地役権を設定してもらう必要はないということは十分あり得ます。こういう場合は、土地のみの譲渡をすればいいわけです。

土地のみの譲渡と地役権のみの譲渡というのは、特約によりその扱いが異なりますが、以上のように考えれば混乱することはないと思います。

それと、今の付従性の話ですが、土地所有権と地役権は原則として分離して処分できないので、たとえば甲地に抵当権を設定すると、地役権にも抵当権を設定したことになります。そして、これも先ほどと同様に地役権だけに抵当権を設定することはできません。