民法200条(占有回収の訴え)

【解説】

1.占有回収の訴え

本条は、占有者の占有が妨害された場合のうち、占有が「奪われた」(侵奪)された場合について定めた規定で、侵奪以外の方法で占有が妨害された場合は、第198条の占有保持の訴えになります。

この「占有の侵奪」というのは、占有者の意思に基づかずに占有が奪われることを指します。典型的には、他人に動産を奪われた場合などです。

しかし、他人に騙されて任意に物を引き渡したような場合や、遺失した物を拾ったような場合は、「占有の侵奪」があったとはいえず、占有回収の訴えは提起することができません。

2.請求の内容

占有を奪われた物の返還及び損害賠償請求ということになります。

3.特定承継人に対する関係(第2項)

本条第2項は、「占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。」と規定しているので、侵奪者の特定承継人(買主等)が善意であれば、占有回収の訴えは提起できないが、特定承継人が悪意であれば占有回収の訴えを提起することができることになる。

これは、占有というのは事実状態に基づいて認められるもので、善意の第三者が現れたときは、その第三者の占有が確立されているといえるので、侵害状態の継続はないと考えられるからです。

第198条の占有保持の訴えの場合の占有の「妨害」は、従来の占有者の占有が残っていると考えられるのに対して、本条の占有回収の訴えの場合の占有の「侵奪」は、従来の占有者の占有が排除されたような状態になっている点を考えれば理解できるかと思います。