民法153条(催告)

【解説】

時効の中断事由の「請求」の一つである「催告」というのは、裁判外の請求であって、権利の主張としては弱い。

そこで民法は、「催告は、6ヵ月以内に、裁判上の請求等をしなければ、時効の中断の効力を生じない。」としています。

時効の中断事由としての「請求」は、なんだかんだと言いながら、裁判等の強力な手段を講じないと時効は止まらないんです。「6ヵ月」というのは、数字も含めて覚えておいて下さい。

これについては、疑問が生じますよね。催告は、請求の一種として時効の中断事由としながら、6ヵ月以内に裁判上の請求等をしないと結局時効が中断しないのならば、「催告」を「裁判上の請求」とは別に時効の中断事由に含めた理由がよく分からない、という疑問です。

これは先ほど言った「6ヵ月」というのが、ポイントです。「催告」、たとえば債権者が債務者に、お金を払ってもらいたい旨を郵便で送ったとします。これで一応時効は中断するのです。ただ、6ヵ月以内に裁判上の請求等をしないと、せっかくの郵便で送った催告も無駄になるということです。

逆に言うと、6ヵ月以内に裁判上の請求を行うと、「催告」の時に時効は中断します。

これは時効が成立する直前に、時効を中断しようとするときなどに、効果を発揮します。書類を整理しているときに、以前に貸し付けたお金の回収がまだできていないことに気付いたとしますよね。よく見ると、あと1週間で時効が成立します。今から、裁判をすることは、難しい。もう一度事実関係を調べ、弁護士に相談に行き、訴状を書いてもらったりしたら、できないことはないけれども、すぐに1週間は過ぎます。

そこで、とりあえず内容証明郵便のようなもので、相手に「催告」だけしておくわけです。そうすると、6ヵ月以内に訴えを提起すれば、「催告」のときに時効が中断しますので、いわば6ヵ月の猶予ができるわけです。

これで、「催告」が時効中断事由とされている意味が分かりましたか?

この6ヵ月以内に裁判上の請求をすれば、「催告」のときに、時効が中断するというのは、しっかり覚えて下さい。「訴えの提起の時」に時効が中断するわけではありません。

この「催告」に関しては、よく一般の人向けの法律の本や、法律相談なんかに出てくる話があります。ある社長さんが、取引先の債権の消滅時効に関して、「私は大丈夫だ。ちゃんと、6ヵ月ごとに内容証明郵便を相手方に送り付けている。」と言っていたとします。

みなさんなら、この社長さんにどうアドバイスしますか?おそらく、この社長さんは、2つの点で勘違いというのか、理解が不十分だと思われます。

まず、今勉強しましたように、催告が時効の中断事由として意味を持つのは、6ヵ月以内に「裁判上の請求等」をした場合に限られます。6ヵ月以内に、再度催告をしても、それでは時効は中断しません。

それとおそらくこの社長さんは、内容証明郵便というものに、ある程度の法的な効果があると勘違いされている可能性があります。しかし、この内容証明郵便も普通の郵便であり、ただ証拠を残すためのもので、内容証明郵便自体に、何らかの法的効果があるかと言えば、それはありません。法的な意味合いは、普通の手紙と同じです。先ほどの社長さんは時効の中断事由として、ちゃんと法的に意味のある内容証明郵便で6ヵ月ごとに請求していると考えている可能性もありますね。