民法121条(取消しの効果)

【解説】

1.取消の効果

無効と取消の相違については、119条参照。

2.制限行為能力者の返還義務の範囲(但書)

取消の効果として、法律行為は遡及的に無効になります。

したがって、一旦履行したものについては、不当利得の返還義務が生じることになります。

しかし、この返還義務について、これをそのまま認めたのでは制限行為能力者には酷なことになるので、返還義務の範囲を規定したのが、本条但書です。

すなわち、制限行為能力者は「現に利益を受けている限度」でのみ返還義務を負います。

ということは、取り消しうべき行為によって制限行為能力者が得た利益が、そのまま、あるいは形を変えて残っているときには、それを返還しなければいけませんが、浪費したときには、これを返還する必要はありません。

そして、これが間違いやすいところだと思いますが、生活費などに使ってしまった場合は、返還する必要があります。というのは、取り消しうべき行為によって得た利益を生活費などに回すことによって、他の財産の出費を免れたので、利益は現存していると考えるわけです。