民法112条(代理権消滅後の表見代理)

【解説】

この代理権消滅後の表見代理については、非常に分かりやすい事例があります。最近は、銀行引き落としで、家に集金に行くものというのが減ってきてて、ちょっと困りますが、新聞代でも何でも、毎月集金に来ますよね。普通、毎月同じ従業員が集金に来ています。今月もいつもの人が集金に来たので、お金を支払ったとします。しかし、その集金に来た従業員は、すでに1週間前にクビになっていて、現在は集金するという代理権を失っています。

この集金する行為は、無権代理です。しかし、普通毎月集金に来ていた人に支払ってしまいますよね。善意無過失です。こういう場合に支払った行為は、有効としようというのが、代理権消滅後の表見代理です。

これで、意味は分かってもらえたと思います。

他の例としては、Aは、Bに不動産売却の代理権を与えたが、その後Aは破産しました。にもかかわらず、BはAの代理人として不動産をCに売却したというような事例です。この事例は不動産の売却の代理権なので、任意代理です。任意代理では、本人の破産は、代理権の消滅事由です。したがって、Bは代理権を喪失します。これは代理権の消滅事由の問題です。それならば、Bは無権代理で、本人に効果は帰属しないとなりそうですが、この「代理権消滅後の表見代理」でCは善意無過失なら、本人に効果が帰属する。したがって、Aは売主となり、Cに不動産を引き渡さないといけない、となります。